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京成電鉄 宗吾車両基地キッズフェスタ

  2023/1/4 更新
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 京成電鉄(以下、京成)は2022年10月29日(土曜日)に宗吾車両基地キッズフェスタ(以下、キッズフェスタ)が行なわれた。家族連れ限定の車両基地イベントは大変珍しい。ゆるーい雰囲気ながら、思わぬサプライズ、まさかの真剣勝負など、盛りだくさんのイベントであった。

工事の際に使用するノイズソーバー

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ノイズソーバー。
 キッズフェスタは時間ごとの入れ替え制で、1回目は10時00分から11時30分まで、2回目は11時30分から13時00分まで、3回目は13時00分から14時30分まで、4回目は14時30分から16時00までの90分制。家族連れ専用のイベントで、子供は小学生以下に限られる。

 報道公開では3回目の様子を京成広報がガイドを務めるカタチで取材。まず「スカイライナーと記念撮影」では、2代目AE形とのツーショット写真を撮影するというもの。後ろにド迫力がある車両を間近で見ると、大人でも心が躍りそうだ。

 隣の建屋では3700形と2代目3000形一般色が並ぶ。その隣では右から2代目3000形7次車(「3050形」とも称される)、2代目3100形、3400形、3600形、3500形の順に並び、現役の全車種が勢ぞろい。イベントならではの“お・も・て・な・し”だ。

 建屋付近ではノイズソーバーという防音ボックスを展示。係員にきいたところ、夜間の工事に使用し、騒音が極力外に漏れないようにしているという。例えば、ホームの舗装をはがすときに使うそうだ。

軌陸車が動く

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軌陸車。
 ノイズソーバーの向かい側では軌陸車が展示された。ここでは軌陸車が舗装部分で線路を走行できるようセッティングし、線路上を走行するシーンが披露された。京成電鉄広報によると、以前のイベントでは乗車体験をしていたという。

 工場に入ると、「踏切・駅・非常ボタン体験」で、踏切や駅に設置されている非常ボタンを押すもの。後日、別件のイベント取材で駅の非常ボタンを押させていただくと想像以上に固い。

2代目3000形の“新しい景色”

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いつもとひと味違う車両の姿はイベントならでは。
 入場線に進むと、2代目3000形3028編成が検査中。前面に赤と青の帯がない珍しい、“新しい景色”を披露。カラーテープを貼りかえることで色あせた状態で営業運転に就かないよう努めている。

 その後、先頭車3028-8をモデルに車体の吊り上げ、吊り下げ作業が始まる。「門型」と呼ばれるクレーンに車体をはさみ、作業員は慎重に操作する。

 参加者はめったに見られない“空飛ぶ電車”に固唾をのみ、吊り下げが無事に終了すると万雷の拍手で作業員をたたえた。

2種類のワンハンドルマスコンを展示

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2代目AE形の運転台は定速ボタンつき。
「艤装職場担当機器(マスコン・パンタグラフ)」では、パンタグラフと運転台(マスコンハンドル)を披露。特に後者は3700形の両手操作型ワンハンドルマスコン、2代目AE形の左手操作型ワンハンドルマスコンを展示。ワンハンドルマスコンが2種類あるのは、3700形は他社線に直通する車両に対し、2代目AE形は自社線のみの運行が大きいようだ。

 係員にきいたところ、左手操作型ワンハンドルマスコンが操作しやすいという。右手が容易に使えるのでスイッチ等が押しやすいことが大きいようだ。一方、両手操作型ワンハンドルマスコンは脇を締めて運転するので意外と窮屈である。片手を一瞬離す程度は問題ないが、両手を離すとデットマン装置が働き、列車が自動停止する。

電車の運転台でSLの汽笛が鳴り響く

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思わぬサプライズを披露した2代目3000形3031編成。
 工場には2代目3000形3031編成があり、「宗吾参道」と「急行」の幕を模したようなものをヘッドマークとして掲出している。乗務員室に入り、右側のペダルを踏むと、なんとこの日のためにSLの汽笛が吹鳴(すいめい)した。イベント限定のスペシャルバージョンで、営業運転で使われることはない。ちなみに2代目3000形の登場時は浅く踏むと電子笛、深く踏み込むと空気笛が作動した。現在は電気笛に一本化したという。
 
 実際に電車の運転台で警笛ペダルを踏ませていただくと、「ボォーッ!!」の力強い音が鳴り響き、まさに“カ・イ・カ・ン”。日頃のモヤモヤが警笛一発で晴れた思いだ。

 ちなみに左側のペダルを踏むと、前照灯(前部標識灯)がロービームからハイビームに変わる。2代目3000形の登場時はシールドビームだったが、近年はLEDに換装された。

 車内でも非常ボタンの操作体験が行なわれる。昔はボタンのみだったが、平成に入ってからは乗務員に直接通話できる。

 試しに幼児が押してみる。

「もしもし、なにかありましたか?」

 係員が応答すると、幼児が絶句。お父さんが助け舟を出す。

「火事でーす」

 と元気よく答えた。

壮大なプラレール展示

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“長距離プラレール”を披露。
 プラレール展示会場に入ると、京成上野―青砥間を再現した広大なスケールで、2代目AE形、京浜急行電鉄2代目1000形1800番台と1500形、東京都交通局5300形が環状運転を行なう。

 京成上野―日暮里間のJR東日本との交差地点では、京浜東北線E233系1000番台、東北本線E231系近郊形タイプ、常磐線E531系が京成線をくぐるシーンを用意した。動かないものの、細かい演出に脱帽。奥にはNゲージも展示され、JR貨物EF65形2000番台らしき電気機関車と3600形中間車3両の甲種輸送というシーンを用意した。

研修所へ

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運転台シミュレーターには、ミニホームドアが用意されている。
キッズフェスタは宗吾車両基地向かいの研修所も会場に含まれており、まずは1階の運転台シミュレーター体験へ。事前応募に当選した方のみ操作できる。

シミュレーターは2018年に東急テクノシステムで“新製”された2代目3000形「3000-1」で、前方は運転台があり運転士養成用、後方は運転台がない車掌養成用なのが特長だ。進行方向の右側にはミニホームドア(可動式ホーム柵)があり、効率的かつ合理的な養成ができる。

2階はワークショップ

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スノードーム。
 2階へあがると、階段付近では鉄道グッズを販売。部屋では2つのワークショップが開かれていた。

 1つ目は和洋女子大学主催の「キラキラスノードームの制作」。京成電鉄と和洋女子大学は2019年2月20日(水曜日)付で連携・協力に関する包括協定書に調印。京成エリアの魅力向上など、産学連携の取り組みをいっそう推進している。

 気になるスノードームは水、洗濯のり、ビーズ、スパンコールがあれば簡単に作れるそうで、基本的に“見て楽しむ”ものだという。

 2つ目は東京経営短期大学主催の「運転士さんの帽子づくり」で、手作りの帽子を作るもの。東京経営短期大学は、2018年11月に千葉商科大学、和洋女子大学、東京医科歯科大学教養部、昭和学院短期大学とともに、大学コンソーシアム市川を設立。さらに市川市、市川商工会議所と産官学連携包括協定を結んだという。

反応速度・注意配分体験

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注意配分体験。
 私が注目したのは「反応速度・注意配分体験」だ。

 まず、反応速度テスト。運転士の試験に使われるもので、青、黄、赤のうち、光った色のボタンを押す。30秒間にいくつ押せるのかがポイントだ。

 実際にやってみると余裕はまったくないが、ノーミスで48個を記録。最高クラスだという。仮に最低クラスだったら、自動車の運転免許返納を考えたほうがいいのかなと思う。反応速度テストは運転免許センターや警察署にも導入し、運転免許更新の適正テストを実施してもよさそうだ。

 次は注意配分テスト。0から48までの数字を順番かつ正確に指し、そのタイムを図るもの。先ほどの反応速度テストに比べ、難易度が高そうだ。ちなみに幼児は「0から10まで」の数字に限定して行なわれた。

 0はど真ん中にあるのでわかりやすく、1もすぐに指せたが、2以降は手間取る。私が体験した限り、早く指すコツは次の数字を探しているときに、その次の数字を先に見つけると早く進む。

 結果は3分09秒。遅いほうかと思いきや、合格基準は5分以内だという。私は意外にも早いらしい。ちなみに相当早い人は1分30~40秒で終わるという。私は2つの試験とも運転士に向けての第1関門をクリアしたことになる。

 これも運転免許センターや警察署にも導入したほうがよいと思う。近年、社会問題と化している高齢ドライバーの事故防止対策や返納の基準の確立など応用できるのではないだろうか。

ミニスカイライナー乗車会

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ミニスカイライナーの車番はAE1-1。
 宗吾車両基地に戻ると、工場の外では幼児向けのミニスカイライナー乗車会が行なわれた。直線を往復するもので、付近には初代AE形を含むレジェンド車両が展示されている。間近で見られるのはイベントの時だけなので、参加者は熱心に撮影していた。

 2022年は多くの鉄道事業者で車両基地イベントが再開された。事前応募による抽選制ながら、イベントの日常が徐々に戻りつつある。2023年はマスクなしで車両基地イベントが開催されますように。

【取材協力:京成電鉄】
京成電鉄 宗吾車両基地キッズフェスタ THE MOVIEも御覧ください。
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『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄...
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