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映像で、音楽で後世に語り継ぎたい。NPOで戦争証言インタビューを制作

  2036
  2019/7/14
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以下は 5 年前に書かれた内容です


地域のお年寄りを訪問して戦争体験をインタビュー

■もっと地元を知ろう

 NPOのメンバーは山武や東金、大網に住んでいて、地元で音楽活動をしていたり、イラストを描いていたり、逆に普段は都内へ通勤して放送関係やIT産業で仕事をしていたりと実に多才なタレント集団。
 風景や行事・芸能など、地元にまつわるものを自分たちの感性で受けとめ、地域内外に向けて発信したり、将来に残すための記録にしていきましょうということで、「NPO法人さんむV&R(ビデオ&レコード)プロジェクト」の活動が始まりました。
 活動の原資を作るために、企業向けの映像制作やイベントの撮影をしたり、インターネット中継放送などをやったりもしています。商工会が主催する音楽イベントの設営や進行に携わることもあります。

 最近の活動では、地元で音楽活動しているメンバーが成東町ゆかりの作詞家、齊藤信夫の代表的な作品をじっくりと研究して、自分たちの感覚で丁寧に演奏・歌唱したものを録音して、CDを制作しました。
 挿絵はイラストレーターのメンバーが、歌のイメージに合わせて描きおろした作品が用意されました。
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■戦争証言集の制作に着手

 V&Rプロジェクトでは、会の発足した当初より、地域のお年寄りの方々から戦時下の思い出などを語っていただき、昭和20年当時の地域のようすを知る映像を制作しています。
 地域に住むお年寄りの方々やご家族の方々に協力して貰って、インタビュー撮影したものを記録用に編集したり、文字におこしたりしています。この『戦争体験インタビュー』は、いずれも当時の地元の人々の日常や戦時下の状況が生き生きと語られていて、ひとつひとつの作品がたいへん貴重な資料として残すことができると期待されています。
 当然ですが、昭和20年を体験された方はご存命であっても皆さん後期高齢者。戦時下の辛かったことは話したくないというお年寄りも少なくないと聞いていましたが、お一人お一人の体験は、地域にとって忘れてはいけない記憶だということで、ご本人たちの肉声で映像に残してみようということになりました。
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 NPOのメンバーは、90歳を過ぎて若いときの話をどれほど覚えているのかなど、さまざまな憶測をたてながら神妙な面持ちでインタビューに伺うのですが、拍子抜けするほど元気に当時のことをお話しして下さるお年寄りの方々の姿にいつも驚かされるといいます。
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■活動の連携も

 地域にはこれまでも戦争の歴史を風化させないために活動をされてきた方々がいます。V&Rプロジェクトは、そうした方々にも積極的に協力をいただいてきました。戦時下の体験談を冊子にまとめ伝える活動を行っている郷土研究サークル「春秋倶楽部」さんにも取材させていただきました。
 皆さんは終戦当時成東小学校(当時は国民学校)5年生の同級生。食糧難の中、多くの子供は家では農作業(芋などの作付け)、養蚕のための「桑の皮切り」を手伝っていたとか。学校の校舎は3分の2を軍隊が使用しており、授業は殆どなく、防空壕ほりや馬の餌にするための草取りなどをしていました。
 空襲には慣れっこになっていて、成東駅爆破の日も窓から敵機襲来を見ていて、すぐそばを飛ぶ米軍機のパイロットの顔まで見えた。その後、好奇心に駆られて成東駅近くまで行って惨状を見ていました。
 子どもだったせいもあるが4人とも当時のことを悲惨でつらい思い出という感覚はなく、元気な小学生であったことも感じられ、それがまたリアルな体験談でした。
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 インタビューを受ける皆さんは、どなたも孫に聞かせるように優しい語り口でインタビューに答えてくれました。お話する内容は、立ち会ったご家族やあとで映像を見た親族の方にとってもはじめて聞く話ばかりと驚かれます。

 鈴木信子さんは昭和2年生まれの91歳。終戦当時は17歳の乙女。ご実家は東金市武射田の農家でした。お父様が出征し、母と祖母の農作業の手伝いをしながら、女学校(現在の東金高校)に通っていました。田んぼ道は牛の糞がたくさんあって嫌だったそうです。
 学校では、外地に出征する兵士のための「慰問文」という手紙を女子生徒全員が書いて送っていました。感謝と励ましの定型的なものを書いていたようですが、ある時、信子さん宛てに兵士から写真付きのお礼の手紙の返信が届いて、それが自分のせいではないのに教頭から叱られたという話を楽しそうに話してくれました。
 終戦の日は、いつものように朝から軍馬の餌用の干し草を集めて束にして縛り、軍に供出するための作業に追われていたそうです。そして正午に玉音放送で終戦。せっかく作った干し草の束は引き取りてもなく残念だった、というのがその日の一番の思い出だとか。
 皆さんのお話から、70数年前のこの地域の日常生活や、戦況の変化に翻弄されながら、それでも明るく生きていた人々の姿が見えて来ます。
 
 高齢のため、耳が遠くなってしまった方、足の自由が利かなくなってしまった方もいますが、ご本人やご家族のご理解をいただき、じっくりと丁寧にお話を収録していきます。
 出来上がった映像の一部はインターネットで公開しています。また本編はご本人はもちろん、地域の各所に配布されるほか、活動の充実をはかるため、複製をご希望の方に販売していく予定です。
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ミニ上映会を実施

■東金文化会館にて郷土研究愛好会とコラボ

 現在、東金文化会館常設展示室にて「東金市の戦争記念碑」という展示が実施されています。東金市郷土研究愛好会が毎年さまざまなテーマで企画して実施しているもので、今年は、かつての戦争において当時の地域の方々がどのような状況に置かれたのか、その実像を明らかにして市史の記述を補足し、記録として残したいと考え、市内にある戦争記念碑等を調査したものが掲出されています。

 その、お隣りの特別展示室を借りて、V&Rプロジェクトの制作による戦争証言実録『昭和20年の記憶』上映会を実施します。
作品は3分~10分程度のミニ・クリップ集になっていて、字幕つき。

令和元年7月21日(日)13時~16時ごろまで(無料・入退場自由)
【内容】
東京大空襲/お父さんが戦地へ行く/小学生のおしごと/終戦干し草の日/終戦と死生観/終戦と食糧/兵隊さんからの手紙/学徒出陣/入隊と空腹 など

さんむ VR(Sammu Video & Records) 山武市の記録・動画配信 – さんむ(山武) VRは、山武地域の魅力・課題・後世に残し伝えるべきものを様々なテーマで映像取材し発信しています。

さんむV&RプロジェクトFACEBOOKページ
以上は 5 年前に書かれた内容です
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