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著者に訊けNEO❷世界のどこにもない超現実を切り取る 写真集「MONORAIL」下田コーイチさん

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  2022/4/4
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かつて千葉日報紙面でシリーズとなっていた「著者に訊け」が、地域情報サイト「ちばとぴ!タウン」で復活。
千葉日報社で発刊された書籍の著者に語ってもらう「著者に訊けNEO」として生まれ変わり、ページの向こうの書き手・作り手の思いをお届けする。

2018年3月、千葉日報社より写真集「MONORAIL」を刊行した下田コーイチさんは、千葉市街の空を走る千葉都市モノレールを15年かけて撮り続け、その作品は映画「ブレードランナー」をほうふつとさせる世界観だと話題を呼んだ。
千葉都市モノレール開業30周年を記念し、千葉市の未来に夢を与える写真集を出版して4年。
関西在住の下田さんが千葉日報社本社を訪れ、発刊当時の思いを語った。

千葉都市モノレール30周年を記念し発刊

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写真集「MONORAIL」書影

大阪に生まれ育った下田さんは、フリーランスのカメラマンとして鉄道と人物撮影に携わってきた。
東京に在住していた19年前、ローカル鉄道の写真を撮ろうと千葉の街を訪れ、京葉線「千葉みなと」駅を利用した時、目の前を走る千葉都市モノレールの姿に衝撃を受けた。
「国内にはいくつかモノレール路線がありますが、大きく二つの方式に分けられます。一つ目は跨座型と呼ばれる軌道桁上部の車輪で車両を支える、東京モノレールや多摩都市モノレールの方式。二つ目は懸垂型と呼ばれ、車体上にレールと車輪があり、車両を支えながら走行します。湘南モノレールや上野動物園のモノレール、そして千葉都市モノレールがこの方式。走行路面と車軸が雨水や積雪にさらされず安定した走行ができます」。
 空を走る車両はもとより、路上など下から見上げることができる軌道桁と、交差する支柱や橋脚が描き出す近未来を思わせる構図が、下田さんを魅了した。
「レールからつり下がる列車を支柱とさまざまな角度から組み合わせました。写真を絵画調の色彩にするには、雲一つないカラッと晴れた冬空の時期を選び、撮影します。すべての写真は湿度が低い季節・時間にフィルムカメラで撮ったもの。適正値より露出オーバーでシャッターを切ることで、実際には見ることができない幻想的な鉄道写真に仕上げました」と振り返る。

モノレールの姿が、海外で反響を呼ぶ!

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鮮やかに描きだされる空と軌道桁、橋脚や支柱

この写真集に収められた写真は、これまでに海外で展示され大きな反響を呼んできた。
2019年3月には台湾・台北の「WONDER FOTO DAY」、2021年10月にはアメリカ・ニューヨークの「Art Expo NewYork」などのアートイベントで発表され、現地で好評を博している。
今年7月にはアメリカ・サンタフェの「ART Santa Fe」にも出展予定だ。
「アメリカにおけるアートの本場であるニューヨーク、そしてそれに次ぐサンタフェで自分の作品が出展されることは、本当にうれしく思います」と、カメラマンとしての喜びを語る。
千葉市民としては、純粋になじみの交通機関とその姿、街の一コマが美しく斬新なイメージでアートとなり、海外で評価を得ていることに感慨を覚える。
地中海沿岸の街並みを思わせる白と紺碧(こんぺき)の空。
車両基地を上からとらえた貴重なアングルも、不思議な色彩で映し出されている。
駅や改札の何気ない一画がクローズアップされ、ページをめくるごとに異世界を垣間見ることができるのだ。
現在はアーバンフライヤー0型車両や、ラッピング広告を施された車両が増えたぶん、開業時からの1000型車両のシルバーとブルーの車両と隣接するビル群、青空とのコントラストをとらえた作品は圧巻。
それまでの既成概念をくつがえされ、裏切られることが心地いい。
改めて頭上を行き交うモノレールを見上げ、自分のまぶたをシャッターにしてみたくなる。

次作はイメージの世界を映し出す?!

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左のページは千葉都市モノレールの車両基地を上から撮影したもの

現実の千葉の街を異世界のごとく染め上げて1冊にまとめた下田さんが、現在取り組んでいるテーマは「仮想空間」だ。
「詳しいことはまだお話できませんが、現実にはない、イメージの世界を写真に収めて、いずれ写真集にまとめられればと思っています」。
下田さんが、いったいどんな新たな世界を創り出すのか、次回作に出会える日を心待ちにしたい。

【しもだ・こーいち】
大阪府大阪市生まれ。奈良大学文学部卒業後、カメラマン修行の為上京。株式会社フォトプロデュースフジイ代表・写真家の藤井清視氏に師事。現在フリーランスとして鉄道と人物撮影に携わる。日本広告写真家協会(APA)会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員、鉄道写真グループ「レールバラエティー」代表

下田コーイチ「MONORAIL」(B5判変型・72ページ・定価税込2,200円)は、千葉日報社より2018年3月に刊行。Amazon、47CLUBでお求めになれます。
ちばとぴ!編集部
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千葉日報社ちばとぴ!編集部です。 千葉のポジティブニュースを発信するコーナー「ちばとぴ!ニュース」を運営しています。 「ちばとぴ!ニ...
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