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国登録有形文化財『八鶴館』をみんなで守る

  2021/5/8
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千葉県東金市にある国登録有形文化財建物『八鶴館』は、新型コロナウイルスの影響で昨年の第1回目の緊急事態宣言からまる一年間閉鎖されたままでした。この「八鶴館」をこのまま解体させてしまってはいけないと、地域の人たちが保存・活用に動き出しました。

コロナ禍で休館・廃業となってしまったレストラン

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■八鶴湖畔、地域の誇り「八鶴館」
 1885年に創業した「八鶴館」は、江戸時代に徳川家康が御殿を築いた際に庭池として造営したという八鶴湖畔で、県下有数の桜の名所の眺望を楽しめる建物として100年以上に渡って賑わった人気の割烹旅館でした。その間に何度も増改築が重ねられ、近年になって、その時代の職人の技術や趣向が随所にちりばめられた意匠の価値が見直されて、現存する建物群のうち5棟が2009年に国登録有形文化財になりました。
 旅館業としてはバブル崩壊後に経営破綻しており、一時は競売にかかるという所を地域の経済人らが中心となって買い戻し、新たに会社を作り2006年から「八鶴亭」というレストランとして再出発していました。
■相次ぐ自然災害、そしてコロナが追い打ち
地域の誇りの象徴であった建物を守ろうと地域の期待を背に再出発した「八鶴亭」は、レストラン以外にも、かつて結婚式場として使用していた別館ホールを中心に大小セミナーや会議などが開いたり、コンサートや児童絵画展などの行事を催したり、中秋の名月に合わせて八鶴湖全体を使ってキャンドルナイトを演出するなど、地域のランドマークとして、文化の中心的な役割を担ってきました。
しかし、東日本大震災にはじまり、台風や豪雨災害などがあるたびに老朽化した建物の補修費用がかさみ、もはやレストランの売上からそれらを賄うことが困難になっていました。一昨年に千葉県を襲った台風15号のダメージも酷く、暫く使用ができないままになった部屋もありました。桜の名勝である八鶴湖畔にあるレストランにとって、春に観光協会が催す桜まつりの時期は絶好のかき入れ時なるため、大きく期待していたところにコロナ禍がやってきました。
■休業、再開の見通しが立たず
 昨年の第1回目の緊急事態宣言の出された4月8日を最後に、レストランが再開することはありませんでした。古い建物は使わないでいると忽ち傷んでいくもので、長らく閉め切った建物はカビや蜘蛛の巣などが目立つようになり、秋には大量の落ち葉が水路を塞ぐような状態になっていました。閉館からちょうど半年が過ぎたころ、近所の商店街の仲間らで呼びかけて「八鶴亭」に許可を得て、仲間うちで落ち葉を集め、植木の剪定をして、室内に雑巾がけをしました。せっかくキレイになったので、半年ぶりに建物を見学できるように開放してみました。
 それから更に半年が過ぎて、結局、レストラン「八鶴亭」は再開まで持ち堪えられませんでした。同じ千葉県下には、かつて人気を誇った国登録有形文化財建物の老舗旅館がコロナ禍で廃業、間もなく建物が解体されたという衝撃的なニュースがありましたが、この「八鶴館」もまた同じ運命かとささやかれるようになっていました。

「八鶴館」を地域のみんなで守る

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■地元の有志らが手入れを申し出
上皇陛下や数々の著名人らも滞在した、地域の人々の憧れと誇りであった「八鶴館」の由緒ある建物の無残な姿をこのまま見すごしているわけにはいかないと、今年に入って間もなく商店街の仲間を中心にした有志の人たちが話し合いを始めました。
集まった場所は、市内にあるもう一つの国登録有形文化財建物で現在は喫茶店になっている「サントス・カフェ」。かつて煙草専売所として建てられ、県下最大の書店チェーンだった多田屋書店の本店があった場所。多田屋書店もまた「八鶴館」とほぼ同時期に倒産し、「サントス・カフェ」の建物もまた競売で他に渡る前に現在の所有者が保存のために買い取ったという、似た運命をたどっています。「サントス・カフェ」の並びには、昭和初期に建てられた洋館風の旧税務署あと建物で、のちに多田屋本社屋として利用されていた国登録有形文化財建物があります。こうした建物群は、「八鶴館」とは対照的に普段から商店街のイベント会場や会議などさまざまな用途に使われ、現在も複数の団体が賃借して利用しています。
2度目の緊急事態宣言下だったので、夜仕事が終わってから集まって話し合いを始めても8時には閉店になってしまいます。そうして毎週「サントス・カフェ」に集まっては「八鶴館」をどうしたら保存・活用していくことができるか考えた末、『みんなでキレイにして、みんなで使えばいいんじゃないか』という話になりました。
コロナ禍で解体を余儀なくされた老舗旅館は、国から補助金や交付金があるわけでもなく、もはや一事業者で維持し続けるのが限界になっていたと知って、翻ってこの話を「八鶴館」に置き換えたとき、「八鶴亭」一社にこの問題を抱え込ませてはいけない、頼み込んで「みんなで守る八鶴館」を実現しようという結論にいたりました。

「八鶴館を守る会(仮称)」大そうじ

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 有志らが勝手に作って勝手に計画した保存会、立ち上げに大そうじを実施して、館内の一般公開をやりたいと申し出た時、「八鶴亭」はレストラン経営を諦めたあとの「八鶴館」に新たな飲食店を誘致し、新たに賃貸したオーナーによる≪新生 八鶴亭≫の契約に駒を進めるところでした。
 「八鶴館を守る会(仮称)」と名付けられた有志らは、『≪新生 八鶴亭≫はレストラン経営に専念して、レストラン経営と関係のない建物は「八鶴館を守る会(仮称)」が管理し、月極や時間貸しで賃料を売り上げていく』という仕組みを提案しました。
 「八鶴亭」の株主らは、もともと十数年前に仲間内で資金をかき集めて「八鶴館」建物を守った地域の先輩たちですから、「八鶴館を守る会(仮称)」を作った地域の人たちの心意気を受け止めて「一緒に八鶴館を守っていきましょう」という話で意気投合したのでした。
 果たして、GW初日の5月1日にフレンチレストラン『レイクサイドレストラン八鶴亭』がオープン、その翌日となる5月2日には、「八鶴館を守る会(仮称)」の活動のスタートとなる大そうじが実施されました。
 新聞やネットなどのメディアを通じて作業の実施を知って集まった大勢のボランティア参加者が一緒に汗を流して作業をしました。鹿間陸郎東金市長も同じ近所に住む住民として参加、自ら草刈り機を担いで最後まで繁茂した雑草と格闘していました。
 クラスター対策のためにとった受付票を集計したところ、近くの高校生やファミリーでの参加者、年配者、遠方からの参加者総勢88名にのぼっていたことが分かり、改めて「八鶴館」を守りたいというたくさんの想いが集結したのだと実感できました。

一般公開を実施、トークショーの生配信も

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■5月9日は半年ぶりの建物一般公開
 さっそくキレイになった建物を半年ぶりに一般公開することになりました。
コロナ対策のため、見学は入場人数を区切って地元の人が館内を引率して回るスタイルにしました。また「八鶴館」の歴史やそれぞれの建物の間取り図と見どころをまとめた「八鶴館案内帖」も作成しました。
『レイクサイドレストラン八鶴亭』はじめ「八鶴館」の新しい体制に向けて、広く関心を向けてもらうために、YouTubeライブ配信でトークショーも開催することになりました。
 まるまる一年間、閉ざされていた建物に電気がつきました。
次回の大そうじの日程も決まり、「八鶴館を守る会(仮称)」は「八鶴亭」と協議を重ねて国登録有形文化財「八鶴館」をみんなで利用できる施設の管理法人としてNPOの設立へ向けて準備が始まっています。
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