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東葉高速鉄道開業25周年 波瀾万丈の歴史

  2021/4/27
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以下は 3 年前に書かれた内容です

東葉高速鉄道が1996年4月27日(土曜日)に開業してから、2021年で25周年を迎えた。また、同社も創立40周年を迎えた。西船橋―東葉勝田台間は1972年に構想されてから開業に至るまで24年という長い歳月を要し、都心への新しいアクセスルートを築く。その歴史を紐解いてみることにしよう。

当初は「営団地下鉄(現・東京メトロ)東西線の延伸」という位置づけだった

西船橋から東葉勝田台までの鉄道を構想する発端となったのは、1972年3月1日(水曜日)の都市交通審議会第15号答申である。営団地下鉄東西線を延伸するかたちで、船橋市や八千代市の鉄道空白地域に鉄道を建設し、ラッシュ時の路線バスや既設鉄道の混雑緩和を図ろうとした。

営団地下鉄は検討の末、1974年、運輸省(現・国土交通省)に建設免許を申請する。計画では1976年に着工し、1979年の完成を目指した。これを受け、千葉県、船橋市、八千代市は都市計画の手続きを進めてゆく。

しかし、勝田台に駅を構え、都心へのアクセス輸送を担う京成電鉄が難色を示した。運輸省は時間をかけて慎重に検討を重ねた末、複数の自治体、鉄道事業者、金融機関が出資する第3セクター鉄道の設立に落ち着き、1981年9月1日(火曜日)に東葉高速鉄道が発足した。ほどなく運輸省に鉄道建設を申請し、1982年3月19日(金曜日)にその免許を取得する。さらに1983年3月29日(火曜日)、都市計画の決定が告示される。

1984年7月9日(月曜日)、運輸大臣から日本鉄道建設公団に工事実施計画の指示が出された。第1期区間として西船橋―八千代(仮称。現・八千代中央)間が1991年3月の完成、第2期区間として八千代―勝田台(仮称。現・東葉勝田台)間が1993年3月の完成を目指す計画をたてる。

紆余曲折の末、全線が一挙に開業

1985年に入ると、1月から用地買収のため、地権者700人を対象に交渉を始めるも、全員の承諾を得るまで9年を要した。1990年には、習志野台トンネルの建設工事中、元請けの工事業者が「凝固剤(薬液)の注入不足」という不正行為が発覚し、約半年間にわたり工事中断を余儀なくされた。

また、駅の数も東西線と共用する西船橋を除き、6駅を建設する予定だったが、地元要望の請願駅として、船橋日大前と村上の追加が決定した。

用地買収の遅れが大きく影響し、完成が大幅に延び、建設費用も約3,000億円に膨れ上がった。これに伴い、西船橋―東葉勝田台間の全線一挙開業に変更されたほか、初乗りの大人運賃は200円に設定された。

1996年4月27日(土曜日)、ついに開業。東西線と相互直通運転をすることで、東葉勝田台―大手町間は最速46分で結んだ。この年は東京臨海高速鉄道(新木場―東京テレポート間)が新規開業したほか、営団地下鉄南北線の駒込―四ツ谷間が延伸、大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)長堀鶴見緑地線の京橋―心斎橋間が延伸され、“平成の新線開業”が相次いだ。

東西線に合わせた部分も

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千葉県内の東京メトロ東西線を走行する東葉高速鉄道2000系
東葉高速鉄道の特徴として、可能な限り東西線に合わせたことだ。

まず、運転方向の表現は営団地下鉄に倣い、西船橋から東葉勝田台方面を「A線」、その逆を「B線」とした。一般的に「下り」は東京から郊外へ、「上り」はその逆をさす。ところが、営団地下鉄はどの列車も東京都心へ向かうことから、「下り」「上り」の区別が困難なためである。

なお、現在の東葉高速鉄道は、西船橋から東葉勝田台方面を「下り」、その逆を「上り」に変更された。

次に保安装置。当時、東西線で使われていたWS-ATC(Wayside Signal Automatic Train Control:地上信号機式の自動列車制御装置)を採り入れた。同じものを使うことで、営団地下鉄側は東西線の既存車両を改造せず、そのまま東葉高速鉄道に入線できるメリットがある。

また、車両も東西線5000系12編成120両を譲り受け、10編成100両を改造し、1000系として再スタートを切る。当初は残り2編成20両を輸送力増強用として改造の予定だったが、見送られた。

2000系の登場

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東京メトロ05系13次車
車両番号の下2ケタの40~43(第40~43編成)が13次車である。
東葉高速鉄道にとって、大きな転機となったのは東京メトロ東西線の保安装置更新である。2006年度末に既設線と同じCS-ATC化(Cab Signal Automatic Train Control:車内信号機式の自動列車制御装置)されることになったのだ。東京メトロは東西線の車両更新を進め、古株の5000系を置き換えてゆく。

一方、東葉高速鉄道は、東京メトロとの共同開発により、2004年より新型車両2000系を導入する運びとなった。機器類や車体などは東京メトロ05系13次車と同一ながら、インテリアやエクステリアのデザイン、JR東日本直通機器搭載の省略など“独自色”を醸し出す。

2000系は2006年12月末まで11編成が投入され、1000系を置き換えた。

2004年からロケーションサービスを開始

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東葉高速鉄道2000系の車内。
東葉高速鉄道は累積赤字を少しでも減らすため、増収の一環としてロケーションサービスを展開している。

初めて実施されたのは2004年で、TBSのドラマ『オレンジデイズ』のロケだった。以降、映画、ドラマ、CMなどが駅、車両基地、列車内を舞台に通算172回ロケが行なわれている。2000系に見覚えのある読者もいるだろう。

東葉高速鉄道は、八千代市、船橋市と都心などを結ぶパイプ役、そして、視聴者の胸に刻む“名脇役”として、これからも走り続けてゆく。
以上は 3 年前に書かれた内容です
岸田法眼の鉄道チャンネル
岸田法眼の鉄道チャンネル
『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄...
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