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第8回鉄道技術展

  2024/1/1
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鉄道分野の素晴らしい技術が一堂に会した総合見本市「第8回鉄道技術展」(主催:産経新聞社、オーガナイザー:シー・エヌ・ティ)は、2023年11月8日(水曜日)から3日間、幕張メッセで開催した。2019年の第6回、2021年の第7回と異なるのは5~8ホールから4~8ホールに拡張し、よりいっそう充実したことだ。

地方鉄道応援プロジェクト

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熊本電気鉄道は元東京メトロの車両が10両在籍。
今回は「地方鉄道応援プロジェクト」を設け、全国32の中小私鉄がオリジナルのノベルティーグッズ、物産品の販売を行なう。特に銚子電気鉄道は全国的な知名度が高いようで、完売商品続出という盛況ぶりだった。

ほかの中小私鉄の一部を取り上げると、熊本電気鉄道(以下、熊電)は「くまモンのラッピング電車」3・4号車のポスターを掲示。特に4号車は2023年10月14日(土曜日・鉄道の日)に営業運転を開始し、ピンクを基調とした車体が目立つ。

「くまモンのラッピング電車」は2014年から始まり、1号車の6000形(がた)(元東京都交通局6000形)はすでに廃車され、現在は01形(元東京メトロ01系)の2・3号車、2017年10月以来6年ぶりの“新顔”となる03形(元東京メトロ03系)の4号車の3編成が在籍する。

2・3号車は上熊本―北熊本間の運用に固定され、基本的にどちらかが1日中運転。4号車は藤崎宮前・北熊本―御代志間の運転で、基本的に水曜日以外の毎日運転されている。

静岡鉄道はA3000形(けい)の増備がまもなく完了し、1000形の引退が近づいているという。後述のアルピコ交通も含め、車型は「形」と書いて「ケイ」と読む。近年、1000形の一部は熊電に移籍し、車型の読みは「せんけい」から「せんがた」に変わった。

アルピコ交通は2021年から元東武鉄道20000系と20050系を組み合わせた20100形(けい)の導入を進めている。最初の編成は暖房装置をそのままにしたため、冬場になると効きが弱い誤算が生じたという。このため、2編成目以降は暖房能力を強化。最初の編成は「落ち着いた頃に改造」の予定だという。

東京メトロ-03系の新たな移籍先を公表-

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パネルの右下にチューモーク!
東京メトロのブースはグループ企業のメトロ車両が中心で、様々な商品をPRしている。そのひとつ、空調装置抗菌コート剤「シルフィー01」を御紹介しよう。

開発のきっかけとなったのは、乗客から空調装置のニオイに関する苦情が多数寄せられていたことで、車内環境の改善に取り組んだ。

シルフィー01はエタノールによる除菌効果、安定化型の水溶性銀イオンによる抗菌・防臭の効果により、空調装置内の衛生環境を保つことに成功。導入後はニオイに関する苦情がピタッとやんだという。家庭用のエアコンにも使えるそうで、市販の商品として売り出すことを期待したい。

鉄道車両の部品として、ブレーキパッド(制輪子)を展示。東京メトロは一部の路線を除き、ほとんどの列車が各駅に停まるため、駅数が多く、駅間距離も短い。なおかつ、カーブも多いため、車両の運用によっては摩耗が早いという。

車両リニューアルのパネルでは、03系が上毛電気鉄道に移籍することを公表。2020年2月の引退から3年経過し、“在庫”が残っていたのは意外だった。03系の移籍はこれが最後になるという。

上毛電気鉄道は2023年11月25日(土曜日)、03系の移籍及び「800形」として、2024年2月下旬頃の予定で営業運転に就くことを発表した。問い合わせたところ、当初は新型車両の導入による車両更新を検討していたそうだが、製造会社と色々な面で折り合わなかったという。そのような状況の中、メトロ車両から打診があり、協議したところ、3編成6両の移籍が決まった。

これにより、03系の一部は熊電、北陸鉄道、長野電鉄、上毛電気鉄道(時系列順)に移籍。架線電圧が異なる熊電以外はメトロ車両が改造している。

東京メトロ、日本信号-新しい自動改札機を披露-

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日本信号が展示した2種類の自動改札機。
東京メトロは「タッチレス改札」の研究開発を進めている。ただし、実用化の予定はないという。

タッチレス改札はスマートフォンなどの携帯端末、乗車券システム(模擬装置)、自動改札機の頭上に設置のBLEロケータによる無線測位のシステムにより構成する。ようは携帯端末をザックやカバンに入れたまま、改札を通過できるというもの。交通系ICカードには対応していないそうだが、乗車券に関するものを持たなくてもいいので、ベビーカーや車椅子を押す人、車椅子に乗らないと移動が困難な人にとっては、スムーズに通過できる。

日本信号も“新しい自動改札機”を2種類展示。1つ目は交通系ICカード専用の「未来改札機」で、ガラス張りの薄型が特徴。鉄道信号の分野で培ったミリ波レーダーの角度推定技術を応用した。通過の際、床から「↑↑↑↑↑↑↑↑」の光が灯る。

2つ目は「マルチ認証改札機」で、交通系ICカード、クレジットカード(タッチできるマークがあるものに限定)、QRコード対応の乗車券に対応。さらにカメラも取りつけており、顔認証(事前登録が必要)もできる。磁気券の投入口がないことを除き、あらゆるものに対応できる。

どちらも将来の実用化が期待される。特に未来改札機はオシャレで、ビジュアルを強調した初の鉄道改札と言えるだろう。

日本車輌製造-新しいブランド「N-QUALIS」-

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「N-QUALIS」のインテリアデザインは数パターンを用意している(提供:日本車輌製造)。
レールファンなら、「日車」の略称で御存知の方も多いだろう。愛知県に製造工場を構える。

大いに売り込んでいたのは、一般形車両の新しいブランド「N-QUALIS」で、「優れた設計・生産技術力に基づく確かな安全性」、「高い機能性、美観、きめ細やかなつくり込み」、「メンテナンス性向上による省力化」という“3本柱”を掲げている。実際にJR東海315系を世に送り出した。

車体はレーザー溶接によるステンレス製で美観を強調。一体プレス式台車枠の開発により、検査時の探傷作業時間を短縮。空調ダクトの清掃性向上、振動検知装置の搭載による重大事故を未然に防ぐなど、技術面では大幅な向上を図った。

ブース内では特許出願中のインテリアデザインを2種類展示した。

1つ目は乗降用ドアの脇に設置されている袖仕切り。全面ガラス構造で、しかも高さがある。見栄えの良さだけではなく、ザックなどの荷物のはみだし防止(パイプによる袖仕切りは着座している乗客の頭に直撃しやすい)、子供の頭部や首のはさみ込みを防止、乗務員が車内を巡回する際、死角にならないので、忘れ物などをいち早く発見できるなど、メリットも多い。

2つ目は「ピップレスト」という立客用のクッションパネル。近年はフリースペース(車椅子&ベビーカースペース)にクッションパネルを搭載する傾向にある。

ピップレストはもたれやすいのが特徴で、大人から子供まで幅広く使えるほか、クッションの設置場所や数を自由に設定できる、着脱が容易で後づけ可能、摩耗に強いブラケットを採用というメリットがある。

実際に体験してみると、一般的なクッションパネルと異なり、高さと厚みもあるので過ごしやすそう。特に私のような腰痛持ちの人にとっては心強いと思う。

JR西日本テクノス-「体質改善工事」と「リニューアル工事」-

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2011年度以降の車両改造の歴史。
商品化されているものとして、「ホーム検知システム(ドア誤扱い防止システム)」をあげておこう。

これは車両側のみ設置することで、ホームの改良工事不要という低コストがウリ。停車の際、すべての車両が超音波センサーに反射しないと乗降用ドアが開かない。JR西日本のほか、山陽電気鉄道、阪神電気鉄道、名古屋鉄道、京王電鉄、西武鉄道で納入実績があり、“ヒット商品”と言える。

注目は車両の「体質改善工事」と「リニューアル工事」。その違いをきいてみた。

体質改善工事というのは、車両の見た目は大きく変えずに、機能の更新を図るもの。可能な限り、最新の車両に合わせることで品質の向上を図っている。

以前はJR西日本が初めて開発した221系、全474両の体質改善工事を2012年度に始め、2019年度に完了した。短期間で完了できたのは、東海道・山陽本線米原―姫路間といった長距離運用の減少が幸いし、改造車の確保が早くできたという。

一方、リニューアル工事は、他線区に転用や装備を変えることをさす。ボードでは阪和線用の223系0・2500番台をあげており、余剰車を京都地区(山陰本線、草津線など)に転用する際、吊り手の更新が行なわれたという。

応対した社員によると、「言葉だけの違い」「明確に使い分けていることは正直ない」という。ただ、体質改善工事は「大規模」、リニューアル工事は「小規模」だと言える。

このほか、元西武鉄道3000系が近江鉄道に移籍する際、中間車の先頭車化改造、山陽電気鉄道3000系の更新、メトロ車両の受託案件ながら元東京メトロ03系の北陸鉄道転用改造工事がそれぞれ実施された。

JR西日本新幹線テクノス-アナログからデジタルまで幅広く手掛ける-

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山陽・九州新幹線〈さくら〉と博多ラーメン。
鉄道の現場で使用するもの、鉄道グッズの販売などを手掛けている。特に後者はふるさと納税のお礼品に採用しているという。

鉄道の現場に関するものをいくつかあげると、近年、車両では標準搭載と化している防犯カメラ。車内や駅構内で常時録画しつつ、リアルタイムで確認ができる。このほか、様々な画角や取りつけ位置に対応などができる。録画用のストレージも512GB分を確保している。

乗務員室用の扇風機は、103系などといった古い車両の置き換え用として製作。新製から相当な年月がたつと、部品の製造打ち切りなどにより、入手が困難になるという。扇風機を製作することで、夏場の乗務環境の維持に努めている。

参考までに近年の鉄道車両の乗務員室は、扇風機の代わりに客室と同じラインフローファンが設置され、夏場の乗務環境が大幅に改善されている。

開発中のモノとして、LCD(液晶画面)による「行先・種別表示器」を展示。方向幕と同じ書体が表示できるほか、直射日光下でも明るく表示、多言語に対応、機器ごとの交換が可能というメリットがあり、3万時間は鮮明に映るという。

展示品は左側に列車種別(列車愛称)、右側に行先を配置。どちらかの画面に博多ラーメン、西郷隆盛像、注意喚起の画像も表示できる。JR西日本はデジタル方向幕をLCD化した車両がないので、今後の実用化に期待したい。

関西工機整備-駅や車両を彩る立役者-

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案内表示とヘッドマーク。
JR西日本の車両に用いられる列車種別の書体、駅や車内の案内表示、臨時特急〈WEST EXPRESS 銀河〉のヘッドマーク、285系サンライズエクスプレスのエンブレムを手掛けている。

このほか、太陽や電灯などの光をエネルギーとして蓄積し、停電等で光源が消えたあとに発光する「蓄光サイン」、滑り防止のフィルムとアルミ入りのシートを組み合わせた床案内用の「フロアG」、赤色のLEDを発光させることで昼夜問わず視認性を高めた「移動・機器扱い禁止表示旗」を開発した。

JR西日本以外では、JR東日本EV-E801系ACCUM(アキュム)、西武鉄道001系ラビューのエンブレムなどを手掛けた。

広成建設-山陽新幹線を陰で支える-

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炭素繊維。
広島県江田島市に江田島研修センターがあり、新幹線施設と在来線施設のふたつを設け、研修のほか、新たな技術のための試験施行を行なう。

路線の保守に特化したものとして、山陽新幹線のトンネル内で「トンネル覆工内巻工」という補修を実施。支保工とパネルで型枠を形成し、その内部をクラウド材で充填するものだ。

山陽新幹線のトンネルの多くは、コンクリートの素材に海砂を使用したが、鉄筋との相性が悪く、劣化が進む事態となった。トンネル覆工内巻工を開始した当初、年間の施工距離が15メートルにとどまっていたが、専用の足場台車を開発し、作業時間のスピードアップを図ったところ、年間150メートルまで延びた。

このほか、帯状の炭素繊維を用いた「CBF工法」と称する耐震補強工法を開発した。

注目は「新幹線トンネル内風圧体験VR装置」で、トンネル内で山陽新幹線の列車が接近から通過するまでの風圧を疑似体験できる。ゴーグルをつけて体験すると、上下線のあいだの下に隠れた状態で列車を待つ。今や最高速度300km/h、接近して16両編成の列車が通過するまで10秒もかからない。

簡便に疑似体験ができるので、微風や突風を把握することができ、万全の状態で工事に臨める。

大同工業&Fujitaka-バリアフリールートの構築に貢献-

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いろんな階段をバリアフリー化できるのが「エスカル」の強み。
Fujitakaは車椅子用階段昇降機「エスカル」(製造元:大同工業)を手掛けており、踊り場のない階段に設置できる簡便さがウリ。エレベーターの設置が難しいところにも整備できる。1993年からJR東日本・東海・西日本、東京メトロ(バリアフリー工事の完了により、現在は撤去)、都営地下鉄、多くの私鉄や公共施設などに納入した実績を持つ。

様々なタイプの中、介助者不要の利用者運転型「エスカル-LⅡ」に試乗させていただく。車椅子に乗ったままボタン操作ができるので、エレベーターと同じ感覚で利用できる。定員は最大2人(車椅子使用者と介助者)で、シルバーカー、シニアカー、ベビーカーの利用もできる。また、使用しない場合は階段としての利用もできる。

近畿車輛、東洋電機製造-バリアフリー進化への道-

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左は近畿車輛、右は東洋電機製造が出展したバリアフリーに関する設備。
鉄道と車椅子の課題のひとつとして、列車とホームの隙間や段差があげられる。たいていの駅には駅員が渡り板を設置して、車椅子の乗客が乗り降りしているが、無人駅になると乗務員が行なうので、駅によっては停車時間が長くなってしまい、遅れる可能性もあり得る。

その省力化を目指すべく、2つの企業が新設備を打ち出した。

1つ目は近畿車輛の車載式スロープ装置「スマートランプ」で、客室内にスロープを搭載し、駅に停車し、乗降用ドアが開くと自動で“架け橋”をつくり、隙間と段差が一挙に解消される。新型車両だけではなく、既存の車両にも設置できるという。あとは列車の停車時間がどれだけ確保できるかが課題となる。

2つ目は東洋電機製造の「ドアステップ装置」で、乗降用ドアの下にステップが格納され、駅に停車し、乗降用ドアが開くと車両側からホームに向けて、ステップ板を渡すもの。列車とホームの隙間は解消されるが、ホームによっては段差が解消されないほか、新型車両でないと搭載できないのかなと思う。

どちらも一長一短はあるが、実用化に注目したい。

日本鉄道電気設計-縁の下の力持ち-

高度化、複雑化する鉄道電気プロジェクトを設計する企業で、コンサルティング、設計、施工管理を行なう。

これまでの実績を御紹介すると、JR東日本東海道本線の高輪ゲートウェイ駅の新設、埼京線の保安装置をATACS(Advanced Train Administration and Communications System:無線を用いた列車制御システム)に切り替え、在来線のデジタル列車無線化、ミャンマーの鉄道整備事業、北陸・北海道新幹線の整備事業などで、電気設備を設計した。日々の列車の安全運行及び、安全性向上に大きく貢献している。

アクティオ-作業の安全性を向上-

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左は「クーレーザー®」の効果、右は「FRP梯子(はしご)」を展示。
2024年秋に高出力レーザー錆除去装置「クーレーザー®」をレンタル商品として導入の予定だ。レーザービームを高速回転させながら円状に走査(スキャン)させ、表面にある塗膜(とまく)、サビ、金属を瞬間的に溶融(ようゆう)、蒸散、熱破砕(ねつはさい)により除去する。塩分の除去や産廃量が少ないのが特徴だ。

参考出展として、軌陸車用トラックの昇降梯子(ばしご)として、「FRP梯子」を展示。軽量で持ち運びがしやすく、しかも絶縁タイプなので感電事故を防止。さらにフックをつけたことで高さの調節ができ、足元には滑り止めを使用した。また、目立ちやすいよう、手を持つ部分を黄色にしている。

以前より実用化された軌陸車用トラックは、ダンプカータイプも登場し、幕張メッセに展示。材料と工具は載せやすくすることで、効率の良い保守点検ができそうだ。

レンタル用の台車として、「アクロス」を展示。下回りを改良することで、配筋、デッキプレートの上のほか、段差のあるところ、草、土、泥、砂利といった悪路でもスムーズに進む。フットブレーキも搭載されている。また、台車の天板は滑り止めマットを装着しており、操作性もよい。

鉄道技術展は“出展者が売り込む場”でもある。鉄道事業者にお勤めの人も視察をするほど関心が高い。「日本の鉄道の未来を担うビジネスイベント」として、確固たる地位を築いたと言っても過言ではない。

追記

2024年3月4日(月曜日)、動画を追加しました。
岸田法眼の鉄道チャンネル
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『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄...
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