登場30周年を迎えた新京成電鉄8900形
2023/10/21
以下は 1 年前に書かれた内容です
新京成電鉄(以下、新京成)の8900形通勤形電車は2023年で登場30周年を迎えた。わずか3編成18両という“レア車両”の歴史を御紹介しよう。
新京成では“初めてづくし”の車両
先頭車前面のアクセントカラーは、新京成の頭文字「S」を描いた。
8900形は1993年9月に8両編成で登場。新京成では“初めてづくし”の車両で、エクステリアで目立つのは塗装の必要がないステンレス車体。幕板部と腰板部を光沢のあるヘアライン仕上げ、側窓のまわりを半光沢のダルフィニッシュ仕上げにして、金属光沢に変化をつけている。従来の車両に比べ、1両あたり約7トンの軽量化を図った。
当時のカラーリングはステンレスの地肌を強調しつつ、クリアブルーを基調に、薄いピンクをアクセントカラーに用いた。
先頭車前面は鋼製ながら、地下鉄車両で見られる左右非対称で、800形以来となる貫通扉を設置。左右対称、非貫通の8800形と同様に運転台のスペースを広げた。行先表示器は8800形の幕式から3色LED式に変わった。
さらにスカート(排障器)も設置。当時、JR東日本209系、JR西日本207系、営団地下鉄(現・東京メトロ)06系と07系などの通勤形電車にもスカートが設置されており、普及の傾向にあった。台車はすでに“トレンド”と化していたボルスタレス台車である。
乗降用ドアの幅も8800形の1300ミリから1500ミリに拡大し、大人3人が同時に乗降できるようにした。パンタグラフは当時珍しいシングルアーム式を採用。従来のひし形に比べ、軽量化、屋根上の専有面積を減らせるほか、部品点数の削減も図れる。
側窓は1段下降式で、中央部は幅の狭い固定窓、左右は開閉可能で、車端部と同じサイズとした。黒色のピラーを組み合わせることで大型1枚窓に見せている。
制御装置は8800形に引き続きVVVFインバータ制御。最高速度は新京成初の120km/h。4M4T(Mは電動車、Tは付随車、数字は両数)ながら、加速度は3.3km/h/sと比較的高い。参考までに新幹線のN700系は2.6km/h/s、Osaka Metroの2代目20系は3.0km/h/sである。
なお、8900形の減速度は常用4.0 km/h/s、非常4.5 km/h/sである。
当時のカラーリングはステンレスの地肌を強調しつつ、クリアブルーを基調に、薄いピンクをアクセントカラーに用いた。
先頭車前面は鋼製ながら、地下鉄車両で見られる左右非対称で、800形以来となる貫通扉を設置。左右対称、非貫通の8800形と同様に運転台のスペースを広げた。行先表示器は8800形の幕式から3色LED式に変わった。
さらにスカート(排障器)も設置。当時、JR東日本209系、JR西日本207系、営団地下鉄(現・東京メトロ)06系と07系などの通勤形電車にもスカートが設置されており、普及の傾向にあった。台車はすでに“トレンド”と化していたボルスタレス台車である。
乗降用ドアの幅も8800形の1300ミリから1500ミリに拡大し、大人3人が同時に乗降できるようにした。パンタグラフは当時珍しいシングルアーム式を採用。従来のひし形に比べ、軽量化、屋根上の専有面積を減らせるほか、部品点数の削減も図れる。
側窓は1段下降式で、中央部は幅の狭い固定窓、左右は開閉可能で、車端部と同じサイズとした。黒色のピラーを組み合わせることで大型1枚窓に見せている。
制御装置は8800形に引き続きVVVFインバータ制御。最高速度は新京成初の120km/h。4M4T(Mは電動車、Tは付随車、数字は両数)ながら、加速度は3.3km/h/sと比較的高い。参考までに新幹線のN700系は2.6km/h/s、Osaka Metroの2代目20系は3.0km/h/sである。
なお、8900形の減速度は常用4.0 km/h/s、非常4.5 km/h/sである。
新機軸満載も3編成の投入にとどまる
8900形は新京成線内で運行され、京成電鉄千葉線に乗り入れない。
車内も初めてづくしが多く、先頭車の乗務員室寄りに車椅子スペースを設置。ロングシートは着席区分が明確なバケットタイプ、吊り手は握りやすい三角形(8800形は円形)、床も営団地下鉄01系などと同様の2色制にして着座した際の足を置く位置、通路を明確化した。
各乗降用ドア上には3色LED式による旅客情報案内装置を設置。乗務員室の運転台は両手操作式のワンハンドルマスコン、計器盤はデジタルを初採用。特に速度計は、当時の自動車にも用いられたバーグラフとデジタル数字の組み合わせ。阪急電鉄の8000系などにも導入されていたので、“21世紀に向けた鉄道車両”という、明るい未来を感じさせるものだった。
このほか、新京成では初めて車内自動放送装置も採り入れた。
8900形は新機軸をふんだんに採り入れた“意欲作”だったが、1996年7月まで3編成24両の投入にとどまった。また、新京成オリジナルデザインの車両は8900形が最後となった。以降のN800形(2005年登場)は京成グループ標準車体、80000形(2019年登場)は京成電鉄との共同開発で、いずれも新京成の独自色を出している。
各乗降用ドア上には3色LED式による旅客情報案内装置を設置。乗務員室の運転台は両手操作式のワンハンドルマスコン、計器盤はデジタルを初採用。特に速度計は、当時の自動車にも用いられたバーグラフとデジタル数字の組み合わせ。阪急電鉄の8000系などにも導入されていたので、“21世紀に向けた鉄道車両”という、明るい未来を感じさせるものだった。
このほか、新京成では初めて車内自動放送装置も採り入れた。
8900形は新機軸をふんだんに採り入れた“意欲作”だったが、1996年7月まで3編成24両の投入にとどまった。また、新京成オリジナルデザインの車両は8900形が最後となった。以降のN800形(2005年登場)は京成グループ標準車体、80000形(2019年登場)は京成電鉄との共同開発で、いずれも新京成の独自色を出している。
6両編成として再出発
8900形、デビュー30周年記念のヘッドマーク(提供:新京成電鉄)。
8900形はデビュー後、1998年から回生ブレーキを制御する純電気ブレーキを採用し、省エネ性をさらに高めたほか、1999年からアクセントカラーをピンクからレッドに変え、鮮烈さが増した。
2006年12月10日(日曜日)のダイヤ改正で、日中の一部列車は京成電鉄千葉線への乗り入れを開始し、松戸―千葉中央間を約1時間で結ぶ(千葉線に直通するのは8800形の一部とN800形)。
これに伴い、全編成を8両編成から6両編成に減車することになった。主力の8800形は一部の中間車を先頭車化改造することで、96両のまま12編成から16編成に増やした。
8900形は長らく8両編成のままだったが、2014年8月31日(日曜日)と9月30日(火曜日)に中間車6両が廃車され、4M2Tの6両編成として再出発。併せて、VVVFインバータ制御、ブレーキ装置、モニター装置などの更新が順次行なわれた。特に計器盤はデジタル式から、一般的なアナログ式(指針式)に変更された。
性能面ではVVVFインバータ制御、ブレーキ装置の更新により、加速度を3.5km/h/sにアップし、消費電力も約13%削減。カラーリングも現在のジェントルピンクとホワイトの組み合わせに変更された。
現在、ヘッドライト(前部標識灯)はLEDに更新され、より精悍な顔立ちに進化。行先表示器もフルカラーLEDに更新され、「駅ナンバリング+行先」を表示する。
新京成は8900形のデビュー30周年を記念して、2024年3月末まで「8900形デビュー30周年記念ヘッドマーク電車」を運行する。正月恒例の新春ヘッドマークも2024年は8900形に初掲出して、デビュー30周年にもうひと花を添え、いっそう盛り上げるのもアリだと思う。
2006年12月10日(日曜日)のダイヤ改正で、日中の一部列車は京成電鉄千葉線への乗り入れを開始し、松戸―千葉中央間を約1時間で結ぶ(千葉線に直通するのは8800形の一部とN800形)。
これに伴い、全編成を8両編成から6両編成に減車することになった。主力の8800形は一部の中間車を先頭車化改造することで、96両のまま12編成から16編成に増やした。
8900形は長らく8両編成のままだったが、2014年8月31日(日曜日)と9月30日(火曜日)に中間車6両が廃車され、4M2Tの6両編成として再出発。併せて、VVVFインバータ制御、ブレーキ装置、モニター装置などの更新が順次行なわれた。特に計器盤はデジタル式から、一般的なアナログ式(指針式)に変更された。
性能面ではVVVFインバータ制御、ブレーキ装置の更新により、加速度を3.5km/h/sにアップし、消費電力も約13%削減。カラーリングも現在のジェントルピンクとホワイトの組み合わせに変更された。
現在、ヘッドライト(前部標識灯)はLEDに更新され、より精悍な顔立ちに進化。行先表示器もフルカラーLEDに更新され、「駅ナンバリング+行先」を表示する。
新京成は8900形のデビュー30周年を記念して、2024年3月末まで「8900形デビュー30周年記念ヘッドマーク電車」を運行する。正月恒例の新春ヘッドマークも2024年は8900形に初掲出して、デビュー30周年にもうひと花を添え、いっそう盛り上げるのもアリだと思う。
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岸田法眼の鉄道チャンネル
『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄...
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