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東武鉄道80000系-人と地球によりそう電車-
2025/2/19
東武鉄道(以下、東武)は野田線の次世代車両として、80000系が2024年12月に登場。2025年3月8日(土曜日)の開幕を予定している。2022年4月28日(木曜日)の導入発表後、ちまたなどでは様々な意見が飛び交う中、2024年12月に登場。2025年2月10日(月曜日)に南栗橋車両管区七光台支所で報道公開が行なわれた。どこよりもくわしく、わかりやすくお伝えしよう。
東武の5ケタ車系(車型)について
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80000系落成後、南栗橋車両管区に搬入された。
本題に入る前に、東武の5ケタ車系について御説明しよう。
東武は1983年の10000系から通勤形電車は、800系と850系(いずれも8000系の改造車)を除き、5ケタ車系としている。なおかつ、1つの編成が2両から10両まで組成されることから、細分化することでわかりやすくしている。内訳は下記の通り。
〇万の位:系列。10000系グループは「1」、20000系グループは「2」を示す。
〇千の位:浅草・池袋・柏方の編成順序。「1」は1両目、「2」は2両目と続き、「0」は10両目を示す。なお、「1号車」は逆方向の東武動物公園・川越市・大宮及び船橋方をさす。
〇百の位:固定編成の両数。「2」は2両車、「4」は4両車、「6」は6両車と続き、「0」は10両車を示す。例えば、10両編成の場合、10両車のみ、もしくは4両車+6両車などを組み合わせる。
〇十と一の位:製造順序。例えば、2両車や4両車など1本目の編成は「01」である。
例外もあり、同一形式にマイナーチェンジが加えられた場合(派生車両)は50番台や90番台などを充てる。
70000系グループを例にあげると、東京メトロ日比谷線直通の各駅停車用は「70000型」、〈THライナー〉用は「70090型」に分けている。以前はすべての派生車両を「系」としていたが、2009年以降、「型」を用いるようになった。
なお、70000型はもともと「70000系」として登場したこともあり、「系」として登場したものは「系」、「型」として登場したものは「型」にしていることを御了承いただきたい。
東武は1983年の10000系から通勤形電車は、800系と850系(いずれも8000系の改造車)を除き、5ケタ車系としている。なおかつ、1つの編成が2両から10両まで組成されることから、細分化することでわかりやすくしている。内訳は下記の通り。
〇万の位:系列。10000系グループは「1」、20000系グループは「2」を示す。
〇千の位:浅草・池袋・柏方の編成順序。「1」は1両目、「2」は2両目と続き、「0」は10両目を示す。なお、「1号車」は逆方向の東武動物公園・川越市・大宮及び船橋方をさす。
〇百の位:固定編成の両数。「2」は2両車、「4」は4両車、「6」は6両車と続き、「0」は10両車を示す。例えば、10両編成の場合、10両車のみ、もしくは4両車+6両車などを組み合わせる。
〇十と一の位:製造順序。例えば、2両車や4両車など1本目の編成は「01」である。
例外もあり、同一形式にマイナーチェンジが加えられた場合(派生車両)は50番台や90番台などを充てる。
70000系グループを例にあげると、東京メトロ日比谷線直通の各駅停車用は「70000型」、〈THライナー〉用は「70090型」に分けている。以前はすべての派生車両を「系」としていたが、2009年以降、「型」を用いるようになった。
なお、70000型はもともと「70000系」として登場したこともあり、「系」として登場したものは「系」、「型」として登場したものは「型」にしていることを御了承いただきたい。
野田線の通勤形電車は6両編成から5両編成へ
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野田線の最混雑区間における混雑率。
東武は21世紀に入ると、主要観光地の日光・鬼怒川、首都圏エリアなど、輸送体系の充実を図る一方、ローカル系統の路線やその区間では、経費節減による輸送力の見直しも進めてゆく。通勤形電車では伊勢崎線館林―伊勢崎間を6両編成から3両編成、佐野線は4両編成から3両編成を経て2両編成、小泉線館林―西小泉間及び桐生線は4両編成から2両編成にそれぞれ減車。日光線南栗橋―新栃木間は6両編成から4両編成に減車の上、日中は20分間隔から30分間隔に見直す。いずれもワンマン運転(日光線新栃木以北も含む)に踏み切った。特急も全区間3両編成の列車が存在する。
野田線については、春日部―運河間を除き、複線化を推進したこと、2007年3月10日(日曜日)のダイヤ改正で、大宮―柏間の日中を10分間隔に統一し、利便性の向上を図る(以前は区間によって運転間隔にバラつきがあった)。2016年3月26日(土曜日)から急行の運転を開始。さらに清水公園駅前にソライエ清水公園アーバンパークタウンという、分譲一戸建て住宅の開発に乗り出した。
利便性の向上、住宅開発なども相まって、2019年度の混雑率は3区間とも120%以上を記録した(上の表を参照。混雑率については「トリビア①」を参照)。
しかし、2020年に入ると新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に蔓延し、2020年度の混雑率が大幅に下落。2021年度以降、ゆるやかに回復しているとはいえ、リモートワークが進んだこともあるのか、元の120%以上に戻らない。
2022年4月28日(木曜日)、東武は野田線の利用状況を踏まえ、鉄道事業の根幹である安全、正確、利便性の高い輸送サービスの継続、さらなる効率化、環境に優しい鉄道を目指すべく、野田線に5両編成の新型車両導入を発表した(のちに「80000系」と命名)。
80000系は25編成125両の導入を予定しており、2024年度は5編成、2025年度以降は20編成(完全新製車2編成、後述の4両新製+60000系流用車を18編成)が順次増備され、既存の8000系と10030系を置き換える。
一方、2013年に登場した60000系は全18編成を5両編成に短縮。中間車1両(3号車サハ64600形)を脱車し、80000系の3号車に組み込むことになった。なお、80000系の新製、60000系の改造とも近畿車輛が行なう。
野田線については、春日部―運河間を除き、複線化を推進したこと、2007年3月10日(日曜日)のダイヤ改正で、大宮―柏間の日中を10分間隔に統一し、利便性の向上を図る(以前は区間によって運転間隔にバラつきがあった)。2016年3月26日(土曜日)から急行の運転を開始。さらに清水公園駅前にソライエ清水公園アーバンパークタウンという、分譲一戸建て住宅の開発に乗り出した。
利便性の向上、住宅開発なども相まって、2019年度の混雑率は3区間とも120%以上を記録した(上の表を参照。混雑率については「トリビア①」を参照)。
しかし、2020年に入ると新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に蔓延し、2020年度の混雑率が大幅に下落。2021年度以降、ゆるやかに回復しているとはいえ、リモートワークが進んだこともあるのか、元の120%以上に戻らない。
2022年4月28日(木曜日)、東武は野田線の利用状況を踏まえ、鉄道事業の根幹である安全、正確、利便性の高い輸送サービスの継続、さらなる効率化、環境に優しい鉄道を目指すべく、野田線に5両編成の新型車両導入を発表した(のちに「80000系」と命名)。
80000系は25編成125両の導入を予定しており、2024年度は5編成、2025年度以降は20編成(完全新製車2編成、後述の4両新製+60000系流用車を18編成)が順次増備され、既存の8000系と10030系を置き換える。
一方、2013年に登場した60000系は全18編成を5両編成に短縮。中間車1両(3号車サハ64600形)を脱車し、80000系の3号車に組み込むことになった。なお、80000系の新製、60000系の改造とも近畿車輛が行なう。
エクステリア
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4号車の車端部に、たのしーとがあり、水玉の装飾でアピール。
車体は2004年登場の50000系から通勤形電車の標準となったアルミの無塗装。前面は左右非対称で、非常用貫通扉を左端に配した。このスタイルは20000系から始まり、50000系グループ、60000系にも踏襲されており、“東武スタイル”といったところ。非常用貫通扉のみフロントガラスの面積を広げており、幼児が前面展望を楽しめるようにしている。
前部標識灯(前照灯)、後部標識灯(尾灯)とも、東武の電車では珍しいフロントガラスの上に設置。すべてLEDである。
カラーリングは野田線用の60000系で採用したフューチャーブルー(Future Blue)とブライトグリーンを踏襲。前面は野田線の路線愛称「東武アーバンパークライン」(都心に向かう乗り換え駅が6駅有すること、身近に自然を感じられる公園などが多く点在することから、2014年4月1日〔火曜日〕より使用を開始)のロゴを貼布。その下に両色が鈍角三角形に配しており、鉄道車両では珍しいデザインだ。左右と上はフューチャーブルーを配した。
車両番号も大きく表示しており、60000系とは書体が異なる。東武によると英数字はヘルベチカ、日本語は新ゴ(ゴシック体の一種)に統一したという。
車体側面はフューチャーブルーをメインカラー、ブライトグリーンをアクセントカラーのような組み合わせとしており、車端部の片側のみ後者の幅を広げて、フリースペースを示す車椅子とベビーカーのピクトグラムを貼付し、わかりやすくしている。参考までに東武に直通する東京メトロの13000系、17000系、18000系は側窓上に対し、70000系グループと80000系は戸袋の上に貼付している。
「フューチャーブルー」「ブライトグリーン」という色の名について御説明すると、フューチャーブルーは、東武グループのグループロゴカラー。「雲ひとつない宇宙まで透けて見えるような、抜けるような青空は“青の中の青”」だという。そして、人々の安全と安心、快適と便利な暮らしを支え続ける東武グループの「信頼性」「包括力」「期待感」を表す色と位置づけている。
ブライトグリーンは野田線沿線に数多く点在する公園を表す色で、広い空と緑あふれる豊かな自然の中で、人々が共存していくことを表現した。
なお、60000系などの野田線所属車両とは異なり、車体側面に東武アーバンパークラインのロゴは貼付されていない。
デジタル方向幕はフルカラーLEDで、60000系と同様、「列車種別+行先」と「号車」が交互に表示する。書体は60000系3色LED時代の明朝体から新ゴに変わっており、こちらのほうが見やすいようである。シャッター速度は1300まで鮮明に写る。
また、すべての車端部に車載カメラを搭載しており、将来のワンマン運転に備えているが、時期は未定だ。
このほか、4号車の車端部のみカラフルな水玉(4つのピクトグラムも含む)を配し、たのしーと(後述)を示す。
前部標識灯(前照灯)、後部標識灯(尾灯)とも、東武の電車では珍しいフロントガラスの上に設置。すべてLEDである。
カラーリングは野田線用の60000系で採用したフューチャーブルー(Future Blue)とブライトグリーンを踏襲。前面は野田線の路線愛称「東武アーバンパークライン」(都心に向かう乗り換え駅が6駅有すること、身近に自然を感じられる公園などが多く点在することから、2014年4月1日〔火曜日〕より使用を開始)のロゴを貼布。その下に両色が鈍角三角形に配しており、鉄道車両では珍しいデザインだ。左右と上はフューチャーブルーを配した。
車両番号も大きく表示しており、60000系とは書体が異なる。東武によると英数字はヘルベチカ、日本語は新ゴ(ゴシック体の一種)に統一したという。
車体側面はフューチャーブルーをメインカラー、ブライトグリーンをアクセントカラーのような組み合わせとしており、車端部の片側のみ後者の幅を広げて、フリースペースを示す車椅子とベビーカーのピクトグラムを貼付し、わかりやすくしている。参考までに東武に直通する東京メトロの13000系、17000系、18000系は側窓上に対し、70000系グループと80000系は戸袋の上に貼付している。
「フューチャーブルー」「ブライトグリーン」という色の名について御説明すると、フューチャーブルーは、東武グループのグループロゴカラー。「雲ひとつない宇宙まで透けて見えるような、抜けるような青空は“青の中の青”」だという。そして、人々の安全と安心、快適と便利な暮らしを支え続ける東武グループの「信頼性」「包括力」「期待感」を表す色と位置づけている。
ブライトグリーンは野田線沿線に数多く点在する公園を表す色で、広い空と緑あふれる豊かな自然の中で、人々が共存していくことを表現した。
なお、60000系などの野田線所属車両とは異なり、車体側面に東武アーバンパークラインのロゴは貼付されていない。
デジタル方向幕はフルカラーLEDで、60000系と同様、「列車種別+行先」と「号車」が交互に表示する。書体は60000系3色LED時代の明朝体から新ゴに変わっており、こちらのほうが見やすいようである。シャッター速度は1300まで鮮明に写る。
また、すべての車端部に車載カメラを搭載しており、将来のワンマン運転に備えているが、時期は未定だ。
このほか、4号車の車端部のみカラフルな水玉(4つのピクトグラムも含む)を配し、たのしーと(後述)を示す。
主電動機は新鋭を採用
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東武の通勤形電車では、60000系以来の採用となったボルスタレス台車。
台車は東武標準のモノリンク式ボルスタレス台車。VVVFインバータ制御は現代の標準と化すフルSiC(シリコンカーバイド)素子を用いた。編成形態は2M3T(Mは電動車、Tは付随車、数字は両数)で、東武の車両では初めてT車の数が多くなった。パンタグラフは30000系から続くシングルアーム式で、2・4号車に各1基搭載する。
電動台車に装備する主電動機は、新鋭の「同期リラクタンスモーター(Synchronous Reluctance Motor: SynRM)」を採用した。三菱電機が開発したもので、回転子の発熱損失が小さく、効率や質量特性に優れている。定格出力は250キロワットで、永久磁石同期電動機の205キロワットに比べ、増強されただけではなく、軽量化やさらなる省メンテナンス化も図っている。
東京メトロとの共同による実証実験では、13000系1編成の2両に装荷し、2021年3月24日(水曜日)から4月14日(水曜日)までの計12夜間に日比谷線で世界初の試験走行をしたところ、実際の鉄道車両で運用可能であることを確認した。
さらに8か月後の12月27日(月曜日)から長期評価試験を実施したところ、南北線9000系1次リニューアル車(第1~8編成)の誘導モーターシステムと比較して、約18%の省エネ化が実現可能という結果が出た。東京メトロによると、2022年11月に終了し、元の状態に復元して営業運転を再開したという。
同期リラクタンスモーターの成功により、2024年に福岡市交通局が4000系で本格採用し、80000系は2例目。今後、新型車両を中心に普及してゆくだろう。
電動台車に装備する主電動機は、新鋭の「同期リラクタンスモーター(Synchronous Reluctance Motor: SynRM)」を採用した。三菱電機が開発したもので、回転子の発熱損失が小さく、効率や質量特性に優れている。定格出力は250キロワットで、永久磁石同期電動機の205キロワットに比べ、増強されただけではなく、軽量化やさらなる省メンテナンス化も図っている。
東京メトロとの共同による実証実験では、13000系1編成の2両に装荷し、2021年3月24日(水曜日)から4月14日(水曜日)までの計12夜間に日比谷線で世界初の試験走行をしたところ、実際の鉄道車両で運用可能であることを確認した。
さらに8か月後の12月27日(月曜日)から長期評価試験を実施したところ、南北線9000系1次リニューアル車(第1~8編成)の誘導モーターシステムと比較して、約18%の省エネ化が実現可能という結果が出た。東京メトロによると、2022年11月に終了し、元の状態に復元して営業運転を再開したという。
同期リラクタンスモーターの成功により、2024年に福岡市交通局が4000系で本格採用し、80000系は2例目。今後、新型車両を中心に普及してゆくだろう。
車上バッテリーシステム
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東武の新型通勤形電車は初の車載カメラ。ワンマン運転の際、運転士がホームの安全確認を行なう。
電車の回生ブレーキというのは、ブレーキをかけた際に発電した電気を架線もしくは第3軌条に戻すのが一般的だ。
80000系はリチウムイオン2次電池とSIV(静止形インバータという低圧電源装置。2号車に搭載)を組み合わせた車上バッテリーシステムを採用した。回生ブレーキをかけた際に発電した電気を架線に戻さず、SIVを介し、少ない損失で車上バッテリーに充電することで、回生失効を削減する仕組み。また、SIVに不具合が発生した際は、列車の運行に支障がないよう、車上バッテリーから補助電力の供給を行なうなど、冗長性を確保している。
保安装置については、従来通りのTSP-ATS(TSPは「東武型多情報変周指揮、関数制御式」、ATSは「Automatic Train Stop device:自動列車停止装置」の略)で、先頭車の床下に車上子と受信機器を搭載。さらに相模鉄道20000系で実績がある統合型保安装置を採用し、1号車の床下に搭載した。TSP-ATS機能に加え、ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)とTASC(Train Automatic Stopping Controller:定位置停止支援装置)の運転切り換えスイッチ、乗降用ドアの誤開閉防止機能、ホームドア連動機能を備えている。
80000系の運転に備え、2024年10月に船橋、12月に柏でホームドアの改修工事が実施された(ほかの野田線駅はホームドア未設置)。上記はホームドアと列車の乗降用ドアが別々に開閉することから、5両運転列車に限り、連動式に改修し、TASCの運用を開始するのかなと思い、東武に確認したところ、いずれもないという。統合型保安装置を採り入れたのも「将来に備えた」と思うので、今後に注目したい。
80000系はリチウムイオン2次電池とSIV(静止形インバータという低圧電源装置。2号車に搭載)を組み合わせた車上バッテリーシステムを採用した。回生ブレーキをかけた際に発電した電気を架線に戻さず、SIVを介し、少ない損失で車上バッテリーに充電することで、回生失効を削減する仕組み。また、SIVに不具合が発生した際は、列車の運行に支障がないよう、車上バッテリーから補助電力の供給を行なうなど、冗長性を確保している。
保安装置については、従来通りのTSP-ATS(TSPは「東武型多情報変周指揮、関数制御式」、ATSは「Automatic Train Stop device:自動列車停止装置」の略)で、先頭車の床下に車上子と受信機器を搭載。さらに相模鉄道20000系で実績がある統合型保安装置を採用し、1号車の床下に搭載した。TSP-ATS機能に加え、ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)とTASC(Train Automatic Stopping Controller:定位置停止支援装置)の運転切り換えスイッチ、乗降用ドアの誤開閉防止機能、ホームドア連動機能を備えている。
80000系の運転に備え、2024年10月に船橋、12月に柏でホームドアの改修工事が実施された(ほかの野田線駅はホームドア未設置)。上記はホームドアと列車の乗降用ドアが別々に開閉することから、5両運転列車に限り、連動式に改修し、TASCの運用を開始するのかなと思い、東武に確認したところ、いずれもないという。統合型保安装置を採り入れたのも「将来に備えた」と思うので、今後に注目したい。
80000系に“特別仕様車”も
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80000系のVVVFインバータ制御。
80000系は2024年度に5編成導入され、81504・81505編成は3号車に施設モニタリングシステムを採り入れた“特別仕様車”だ。架線モニタリング、架線検測、レールボンドモニタリング、軌道変位モニタリング、軌道材料モニタリング、地上子検測を搭載し、「みまモニ」と名づけた(名づけ親はモーニング娘。のファンなのだろうか?)。営業走行時に鉄道施設の状態を常時検測、モニタリングするという。
施設モニタリングシステムは81504編成をメイン、81505編成を予備として使用するという。いずれも車端部に機器室を設けたため、3号車の座席定員は6人減の45人。その代わり立席定員を97人に設定しており、定員は142人。今後、ほかの新型車両にも広がってゆく可能性がありそうだ。
施設モニタリングシステムは81504編成をメイン、81505編成を予備として使用するという。いずれも車端部に機器室を設けたため、3号車の座席定員は6人減の45人。その代わり立席定員を97人に設定しており、定員は142人。今後、ほかの新型車両にも広がってゆく可能性がありそうだ。
インテリア
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80000系の優先席。
車内はこれまでの東武通勤形電車の殻を打ち破り、客室は「リビング」をテーマに、明るい雰囲気にまとめた。
ロングシートは着席区分が明確なバケットタイプ。一般席のシートモケットは金茶色。「家のソファーを意識した着色」(東武談)ということで、色調は80000系仕様にアレンジした。昭和の時代、東武の“3本柱”だった1720系デラックスロマンスカー特急形電車、1800系急行形電車、8000系通勤形電車とも、車両の種類に関係なく、金茶色のシートモケット、サバースアイボリーの化粧板を用いていた(注:1800系は1819編成のみ、サバースアイボリーはデッキのみ採用)。
金茶色のシートモケットは全国的に珍しいようで、東武以外では大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)の10系量産車、2代目20系などにも採用された。
一方、優先席はブルーで、70000系グループを踏襲するカタチをとった。一般席、優先席とも、袖仕切りを高くしており、立客との干渉を防ぐ。
側窓は車端部のみ固定窓、それ以外は一段下降式で、いずれもUVカットガラスを使用。カーテンも50000系グループから続くフリーストップ式を踏襲した。
ロングシートは着席区分が明確なバケットタイプ。一般席のシートモケットは金茶色。「家のソファーを意識した着色」(東武談)ということで、色調は80000系仕様にアレンジした。昭和の時代、東武の“3本柱”だった1720系デラックスロマンスカー特急形電車、1800系急行形電車、8000系通勤形電車とも、車両の種類に関係なく、金茶色のシートモケット、サバースアイボリーの化粧板を用いていた(注:1800系は1819編成のみ、サバースアイボリーはデッキのみ採用)。
金茶色のシートモケットは全国的に珍しいようで、東武以外では大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)の10系量産車、2代目20系などにも採用された。
一方、優先席はブルーで、70000系グループを踏襲するカタチをとった。一般席、優先席とも、袖仕切りを高くしており、立客との干渉を防ぐ。
側窓は車端部のみ固定窓、それ以外は一段下降式で、いずれもUVカットガラスを使用。カーテンも50000系グループから続くフリーストップ式を踏襲した。
フリースペースは各車両に設置
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80000系のフリースペース。
吊り手の一般席はグレー、優先席はオレンジ。ベルトは汚れを目立たなくするため、すべてブラック。特に優先席はオレンジとブラックの組み合わせを見ると、巨人軍を連想する人もいるだろう。
旅客情報案内装置は17インチワイド画面のLCD式で、左側に広告、右側に次駅案内などを流す。無線式を採用したことで、車両艤装線を大幅に削減したという。その隣には防犯カメラを設置した。ただ、60000系は1画面式、70000系グループは3画面式ながら、すべての乗降用ドア上にLCDを設置したので、その流れを踏襲してもよかったのではないかと思う。
各車にフリースペースを配置。車椅子やベビーカーに対応し、立客向けに腰あてのクッションパネルを設けている。
なお、近畿車輛は車椅子用の車載式スロープ装置「スマートランプ」を開発中である。実用化された場合、量産途中で採り入れる可能性について問い合わせたところ、現時点での予定はないという。ただ、「現時点」なので、将来的には追設して、80000系のキャッチコピーである「人と地球によりそう電車」としての飛躍に期待したい。
停車中は5秒に1回の割合で、「ポーン」というチャイムが鳴動し、視覚障害者が乗降しやすいようにしている。
旅客情報案内装置は17インチワイド画面のLCD式で、左側に広告、右側に次駅案内などを流す。無線式を採用したことで、車両艤装線を大幅に削減したという。その隣には防犯カメラを設置した。ただ、60000系は1画面式、70000系グループは3画面式ながら、すべての乗降用ドア上にLCDを設置したので、その流れを踏襲してもよかったのではないかと思う。
各車にフリースペースを配置。車椅子やベビーカーに対応し、立客向けに腰あてのクッションパネルを設けている。
なお、近畿車輛は車椅子用の車載式スロープ装置「スマートランプ」を開発中である。実用化された場合、量産途中で採り入れる可能性について問い合わせたところ、現時点での予定はないという。ただ、「現時点」なので、将来的には追設して、80000系のキャッチコピーである「人と地球によりそう電車」としての飛躍に期待したい。
停車中は5秒に1回の割合で、「ポーン」というチャイムが鳴動し、視覚障害者が乗降しやすいようにしている。
たのしーと
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たのしーとにチューモーク!
80000系の目玉といえるのは、4号車の車端部に2か所配置された「たのしーと」だ。子供部屋をイメージしたもので、半個室に近いような雰囲気だ。妊婦、小学生数人、乳幼児連れなどを対象とした家族連れ、ベビーカー使用の乗客を想定している。
戸袋部分に1人掛け(幼児は2人まで可能)の座席を配置。近畿日本鉄道8A系やさしばと同じタイプの座席で、坐る向きによってロングシート、もしくはクロスシートと化す。側窓の下にはクッションパネルを設けており、シートモケットはいずれもレモンイエローとした。床には、たのしーとエリアを示すグリーンとしており、なのはなと芝を連想させる。
フリースペースの欠点は補助席がないこと(JR九州BEC819系などは、ささやかな補助席を設置)。ベビーカー使用の乗客が妊婦の場合、坐るところがないので、苦痛なのが目に見える。このため、ベビーカー使用の乗客はフリースペースを敬遠し、普通のロングシートに坐り、くつろぐ姿をよく目にする。たのしーとはフリースペースの欠点を解消したと言えよう。
東武によると、4号車に設置したのは、車体構造上、置きやすい場所(号車)だからだという。先頭車はスペースが厳しく、3号車については81504・81505編成の車端部に機器室を設ける都合上、4号車に落ち着いた。
さらに、すべての車両に設けると、座席数がさらに減ってしまうので、乗客の利便性低下につながること、なおかつ、子育て世代にアプローチするには1両分が望ましいこともある。
なお、既存の60000系に、たのしーとを設置する予定がないという。
戸袋部分に1人掛け(幼児は2人まで可能)の座席を配置。近畿日本鉄道8A系やさしばと同じタイプの座席で、坐る向きによってロングシート、もしくはクロスシートと化す。側窓の下にはクッションパネルを設けており、シートモケットはいずれもレモンイエローとした。床には、たのしーとエリアを示すグリーンとしており、なのはなと芝を連想させる。
フリースペースの欠点は補助席がないこと(JR九州BEC819系などは、ささやかな補助席を設置)。ベビーカー使用の乗客が妊婦の場合、坐るところがないので、苦痛なのが目に見える。このため、ベビーカー使用の乗客はフリースペースを敬遠し、普通のロングシートに坐り、くつろぐ姿をよく目にする。たのしーとはフリースペースの欠点を解消したと言えよう。
東武によると、4号車に設置したのは、車体構造上、置きやすい場所(号車)だからだという。先頭車はスペースが厳しく、3号車については81504・81505編成の車端部に機器室を設ける都合上、4号車に落ち着いた。
さらに、すべての車両に設けると、座席数がさらに減ってしまうので、乗客の利便性低下につながること、なおかつ、子育て世代にアプローチするには1両分が望ましいこともある。
なお、既存の60000系に、たのしーとを設置する予定がないという。
乗務員室と客室の仕切りがすごい
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80000系先頭車の車内。
これまでの東武通勤形電車とは異なるのが、先頭車の乗務員室と客室の仕切り。10000系グループ、20000系グループ、30000系、50000系グループ、60000系は運転席側を壁とし、窓は仕切りドアとその隣(10000系グループと30000系は右側、ほかは中央)に設けていた。
80000系は運転台の背後を大型スクリーン、16:9のテレビ画面を彷彿させるような大きさで、前面展望がしやすくなった。その下にはカラフルなパネルとクッションパネルを配した。仕切りドアも面積を拡大し、幼児が前面展望できるようにしている。
明るい時間帯は全開する予定で、曇天など室内灯が映り込むような状態になると、カーテンを下ろすという。
80000系は運転台の背後を大型スクリーン、16:9のテレビ画面を彷彿させるような大きさで、前面展望がしやすくなった。その下にはカラフルなパネルとクッションパネルを配した。仕切りドアも面積を拡大し、幼児が前面展望できるようにしている。
明るい時間帯は全開する予定で、曇天など室内灯が映り込むような状態になると、カーテンを下ろすという。
乗務員室
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運転台を広く取った乗務員室。運転席のシートモケットは優先席と同じブルー。
運転台で注目なのは、東武の新型通勤形電車初採用の左手操作式のワンハンドルマスコン。今後、地下鉄直通車は両手操作式、自社線専用車(将来はJR東日本直通車も入ることが考えられる)は左手操作式に分けるものと思われる。
計器類は圧力計を除き、LCD2画面式に統一。左側は速度計など、右側は乗車率、車内温度、運転速度、消費電力、機器状態などをリアルタイムで表示する。
将来のワンマン運転を想定し、乗降用ドアの開閉ボタン、マイクや運転台の上にモニターを設けている。なお、モニターは当面使用しない。また、ATO出発ボタンが容易に取りつけられるような状態としている。
運転席の上にはラインフローファンがあり、実質スポットクーラーと見てよい。猛暑、酷暑の乗務環境向上に努めた設計だ。
このほか、1両の乗降用ドア4つのうち、3つを締め切る装置、車外ブザーなどを設けている。
計器類は圧力計を除き、LCD2画面式に統一。左側は速度計など、右側は乗車率、車内温度、運転速度、消費電力、機器状態などをリアルタイムで表示する。
将来のワンマン運転を想定し、乗降用ドアの開閉ボタン、マイクや運転台の上にモニターを設けている。なお、モニターは当面使用しない。また、ATO出発ボタンが容易に取りつけられるような状態としている。
運転席の上にはラインフローファンがあり、実質スポットクーラーと見てよい。猛暑、酷暑の乗務環境向上に努めた設計だ。
このほか、1両の乗降用ドア4つのうち、3つを締め切る装置、車外ブザーなどを設けている。
80000系は野田線のみ投入の模様
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“お孫さん”と“おじいちゃん”がそろい踏み。
80000系は試運転で伊勢崎線館林方面や日光線下今市方面へ足を伸ばした。東武によると、「もし、なにかあったときにどこでもいけるようなカタチで試運転をやりました」の由(よし)。ワンマン運転を想定した車両なので、2~4両車投入の可能性についてきいたところ、ないそうだ。
取材日は81503編成が南栗橋車両管区七光台支所を出庫後、おもに春日部―岩槻間で試運転を実施。春日部の引上線では、東武博物館保有の動態保存車、8000系8111編成と“世紀の顔合わせ”をするシーンがあり、たまたま駆けつけたレールファンらがシャッターを切っていた。
取材日は81503編成が南栗橋車両管区七光台支所を出庫後、おもに春日部―岩槻間で試運転を実施。春日部の引上線では、東武博物館保有の動態保存車、8000系8111編成と“世紀の顔合わせ”をするシーンがあり、たまたま駆けつけたレールファンらがシャッターを切っていた。
60000系の今後
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60000系61601編成は東武ファンフェスタ後、近畿車輛に向けて旅立った。
60000系は野田線初の新型車両として、2013年に登場。2年にわたり18編成108両が投入され、“野田線の顔(エース)”に成長した。
先述したとおり、今後は80000系に合わせ、5両編成化されると共に、機器の更新(電動空気圧縮機など)といった改修工事を近畿車輛で行なう。
60000系から外れる中間車については、80000系のインテリアデザインに極力合わせ、増備車の3号車に挿入し、戦列に復帰する。
気になるのは完全新製車の編成を「80000型」、60000系流用車を連結した編成を「80050型」に分けるのかについてきいたところ、「検討中」の由。また、60000系流用車の連結編成は2025年度に営業運転を開始する。
先述したとおり、今後は80000系に合わせ、5両編成化されると共に、機器の更新(電動空気圧縮機など)といった改修工事を近畿車輛で行なう。
60000系から外れる中間車については、80000系のインテリアデザインに極力合わせ、増備車の3号車に挿入し、戦列に復帰する。
気になるのは完全新製車の編成を「80000型」、60000系流用車を連結した編成を「80050型」に分けるのかについてきいたところ、「検討中」の由。また、60000系流用車の連結編成は2025年度に営業運転を開始する。
5両編成で本当に大丈夫なのか?
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80000系主要諸元。
2022年4月28日(木曜日)、野田線5両編成化のプレスリリース発表後、X(旧Twitter)では懐疑的な意見、批判などが多数あがっている。それだけ野田線に対する関心の高さを表していると言えよう。
千葉県野田市も5月30日(月曜日)に緊急の要望書を東武に直接提出。東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会(埼玉県春日部市、さいたま市、越谷市、南埼玉郡宮代町、北葛飾郡杉戸町、千葉県野田市で構成)も2023年2月9日(木曜日)、2024年2月7日(水曜日)、2025年2月14日(金曜日・バレンタインデー)に野田線6両編成維持などを盛り込んだ要望書を東武に直接提出した。さらに2022年11月15日(火曜日)、2023年11月20日(月曜日)、2024年10月30日(水曜日)、千葉県の熊谷俊人知事宛にも要望書を直接提出した。
報道公開の席で5両編成化による混雑率についてきいたところ、「150%を常時超えるようなことはないと考えていますので、5両で充分対応できると思っています」の由。
私見を述べると、3年連続で混雑率が10%以上の下落、もしくは新線開業の影響で大幅に下落したのなら、減車はやむをえない。
ただ、2021年度以降はゆるやかに回復の途上であること、新型コロナウイルスが5類移行後、船橋17時13分発の急行柏行きに2回乗車したところ、夕ラッシュ時の影響でかなり混雑しており、現状だと5両編成に無理があると思う(注:国土交通省は夕ラッシュ時の混雑率調査を行なっていない)。また、京成電鉄押上線京成曳舟―押上間の混雑率について、コロナ禍前の2019年度は148%、コロナ禍の2020年度は91%、5類移行後の2023年度は149%でV字回復した。
参考までに、野田線2019年度の混雑率を5両編成に換算すると、下記の通り。
・上り北大宮―大宮間:146%(6両編成時は124%)
・下り初石―流山おおたかの森間:157%(6両編成時は132%)
・下り新船橋―船橋間:164%(6両編成時は139%)
野田線2023年度の混雑率を5両編成に換算すると、下記の通り。
・上り北大宮―大宮間:120%(6両編成時は101%)
・下り初石―流山おおたかの森間:110%(6両編成時は93%)
・下り新船橋―船橋間:137%(6両編成時は116%)
一部を除き20%以上増加する。これを上記6両編成時の水準にするには、各2本の増発が必要だ。
その一方、日中時間帯はすいていることが多い。特に単線の春日部―運河間は初めて乗った1997年から今日(こんにち)まで、どの列車も確実に坐れる状況。運転間隔を見直しても差しさわりないと思う。
さらに、国土交通省は2016年度の交通政策審議委員会答申第198号の鉄道ネットワークプロジェクトにおいて、東京8号線押上―野田市間の延伸、埼玉高速鉄道浦和美園―岩槻―蓮田間の延伸をあげており、野田市、さいたま市とも開業を熱望している。仮に2040年代までに実現すると、都心方面への短絡ルートになるので、野田線の利用客減少が避けられない。そうなった場合、5両編成化は「誤った判断ではない」となる。
東武は野田線の5両編成化推進や女性専用車(平日初電から9時まで、柏方先頭車に設定)を継続するのなら、各車両の乗車率の平準化が望ましい。東京メトロは2024年12月16日(月曜日)から混雑の平準化を推進するため、千代田線の北千住と町屋のコンコースにディスプレイを設置し、A線代々木上原方面のみ、号車ごとのリアルタイム混雑状況の表示を開始した。
その仕組みは北千住に設置したデプスカメラで、リアルタイムに実測した号車ごとの混雑情報を基に、北千住のコンコースでは「乗車後の各駅の混雑予測」、町屋のコンコースでは「到着する列車の実際の混雑」のディスプレイを表示する(町屋は2025年1月中旬から開始)。千代田線は混雑率の高い区間に限定したが、野田線については全駅の設置が望ましい。
現在も野田線5両編成化に対し、反対や懸念などの意見があとを絶たない。特に東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会や野田市が東武に計4回も提出したのは、“納得していない”という表れである。これでは今まで東武が長年かけて育んだ野田線のイメージダウン、企業全体のイメージダウンにもつながってしまう。このままでいいのだろうか。
私が気になるのは、東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会が2023年以降、熊谷知事宛に提出した要望書の書面に、「あわせて、輸送サービス等について、丁寧(ていねい)な情報提供等が図られるよう尽力をお願いしたい」と追記したこと。東武側との議論などがうまくいっていないものと推察する。
東武は計4回も要望書を受け取った以上、利用客ならびに、東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会に対し、野田線や東武全体の現状、営業係数(100円の収入を得るためにかかる費用)、収支など資料の作成及び公表、住民説明会の開催など、丁寧な御説明を衷心よりお願いする。
本来、新型車両の記事は明るく、楽しく、その魅力をあますところなくお伝えしなければならない。ジャーナリストの末席に坐る者として、SNSを中心とした5両編成化に対する多くの人々の意見などを無視するわけにはいかず、このような記事になったことを御容赦いただきたい。
千葉県野田市も5月30日(月曜日)に緊急の要望書を東武に直接提出。東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会(埼玉県春日部市、さいたま市、越谷市、南埼玉郡宮代町、北葛飾郡杉戸町、千葉県野田市で構成)も2023年2月9日(木曜日)、2024年2月7日(水曜日)、2025年2月14日(金曜日・バレンタインデー)に野田線6両編成維持などを盛り込んだ要望書を東武に直接提出した。さらに2022年11月15日(火曜日)、2023年11月20日(月曜日)、2024年10月30日(水曜日)、千葉県の熊谷俊人知事宛にも要望書を直接提出した。
報道公開の席で5両編成化による混雑率についてきいたところ、「150%を常時超えるようなことはないと考えていますので、5両で充分対応できると思っています」の由。
私見を述べると、3年連続で混雑率が10%以上の下落、もしくは新線開業の影響で大幅に下落したのなら、減車はやむをえない。
ただ、2021年度以降はゆるやかに回復の途上であること、新型コロナウイルスが5類移行後、船橋17時13分発の急行柏行きに2回乗車したところ、夕ラッシュ時の影響でかなり混雑しており、現状だと5両編成に無理があると思う(注:国土交通省は夕ラッシュ時の混雑率調査を行なっていない)。また、京成電鉄押上線京成曳舟―押上間の混雑率について、コロナ禍前の2019年度は148%、コロナ禍の2020年度は91%、5類移行後の2023年度は149%でV字回復した。
参考までに、野田線2019年度の混雑率を5両編成に換算すると、下記の通り。
・上り北大宮―大宮間:146%(6両編成時は124%)
・下り初石―流山おおたかの森間:157%(6両編成時は132%)
・下り新船橋―船橋間:164%(6両編成時は139%)
野田線2023年度の混雑率を5両編成に換算すると、下記の通り。
・上り北大宮―大宮間:120%(6両編成時は101%)
・下り初石―流山おおたかの森間:110%(6両編成時は93%)
・下り新船橋―船橋間:137%(6両編成時は116%)
一部を除き20%以上増加する。これを上記6両編成時の水準にするには、各2本の増発が必要だ。
その一方、日中時間帯はすいていることが多い。特に単線の春日部―運河間は初めて乗った1997年から今日(こんにち)まで、どの列車も確実に坐れる状況。運転間隔を見直しても差しさわりないと思う。
さらに、国土交通省は2016年度の交通政策審議委員会答申第198号の鉄道ネットワークプロジェクトにおいて、東京8号線押上―野田市間の延伸、埼玉高速鉄道浦和美園―岩槻―蓮田間の延伸をあげており、野田市、さいたま市とも開業を熱望している。仮に2040年代までに実現すると、都心方面への短絡ルートになるので、野田線の利用客減少が避けられない。そうなった場合、5両編成化は「誤った判断ではない」となる。
東武は野田線の5両編成化推進や女性専用車(平日初電から9時まで、柏方先頭車に設定)を継続するのなら、各車両の乗車率の平準化が望ましい。東京メトロは2024年12月16日(月曜日)から混雑の平準化を推進するため、千代田線の北千住と町屋のコンコースにディスプレイを設置し、A線代々木上原方面のみ、号車ごとのリアルタイム混雑状況の表示を開始した。
その仕組みは北千住に設置したデプスカメラで、リアルタイムに実測した号車ごとの混雑情報を基に、北千住のコンコースでは「乗車後の各駅の混雑予測」、町屋のコンコースでは「到着する列車の実際の混雑」のディスプレイを表示する(町屋は2025年1月中旬から開始)。千代田線は混雑率の高い区間に限定したが、野田線については全駅の設置が望ましい。
現在も野田線5両編成化に対し、反対や懸念などの意見があとを絶たない。特に東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会や野田市が東武に計4回も提出したのは、“納得していない”という表れである。これでは今まで東武が長年かけて育んだ野田線のイメージダウン、企業全体のイメージダウンにもつながってしまう。このままでいいのだろうか。
私が気になるのは、東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会が2023年以降、熊谷知事宛に提出した要望書の書面に、「あわせて、輸送サービス等について、丁寧(ていねい)な情報提供等が図られるよう尽力をお願いしたい」と追記したこと。東武側との議論などがうまくいっていないものと推察する。
東武は計4回も要望書を受け取った以上、利用客ならびに、東武伊勢崎線・野田線整備促進協議会に対し、野田線や東武全体の現状、営業係数(100円の収入を得るためにかかる費用)、収支など資料の作成及び公表、住民説明会の開催など、丁寧な御説明を衷心よりお願いする。
本来、新型車両の記事は明るく、楽しく、その魅力をあますところなくお伝えしなければならない。ジャーナリストの末席に坐る者として、SNSを中心とした5両編成化に対する多くの人々の意見などを無視するわけにはいかず、このような記事になったことを御容赦いただきたい。
トリビア①混雑率
混雑率は現在4段階ある。内訳は下記の通り。
・100%:座席に坐る、吊り手につかまる、乗降用ドア付近の手すりにつかまることができる。
・150%:肩が触れ合わない程度で、乗降用ドア付近の人が多くなる(以前は「広げてラクに新聞を読める」だった)。
・180%:肩が触れ合うので、やや圧迫感がある。さらに乗降用ドア付近の人は窮屈となり、身体の向きを変えるのが困難な状態に(以前は「折りたたむなど、無理をすれば新聞を読める」だった)。
・200%:体が触れ合い、相当圧迫感がある。さらに乗降用ドア付近の人は身動きが取れない(以前は「体が触れ合い、相当圧迫感があるものの、週刊誌程度なら、なんとか読める」だった)。
2023年度までは250%があり、「電車が揺れるたびに体がななめになって身動きができず、手も動かせない」だった。これについては列車の増結、増発といった輸送力増強、新線開業で混雑が緩和されたこともあり、250%以上を記録することはなくなった。
・100%:座席に坐る、吊り手につかまる、乗降用ドア付近の手すりにつかまることができる。
・150%:肩が触れ合わない程度で、乗降用ドア付近の人が多くなる(以前は「広げてラクに新聞を読める」だった)。
・180%:肩が触れ合うので、やや圧迫感がある。さらに乗降用ドア付近の人は窮屈となり、身体の向きを変えるのが困難な状態に(以前は「折りたたむなど、無理をすれば新聞を読める」だった)。
・200%:体が触れ合い、相当圧迫感がある。さらに乗降用ドア付近の人は身動きが取れない(以前は「体が触れ合い、相当圧迫感があるものの、週刊誌程度なら、なんとか読める」だった)。
2023年度までは250%があり、「電車が揺れるたびに体がななめになって身動きができず、手も動かせない」だった。これについては列車の増結、増発といった輸送力増強、新線開業で混雑が緩和されたこともあり、250%以上を記録することはなくなった。
トリビア②東武41年ぶりの「80000」車両
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増備終盤を表す8000系5ケタナンバー車。
8000系は1963年に登場し、1983年まで712両が新製された。特にクハ8100形+モハ8200形+モハ8300形+クハ8400形を基本に4・6・8両編成に組成するグループは、下2ケタの数が増えてゆく。
1979年10月、ついに100の大台に乗った。以降、そのグループの車両番号は5ケタとなり、117まで続いてゆき、現在も野田線全線、東上線森林公園・小川町―寄居間、越生線全線で活躍する。
2024年12月、80000系が登場。41年ぶりに「80000」車両が登場したが、8000系の5ケタ車両とかぶることはない。奇しくも80000同士が野田線で共演するので、“レアな顔合わせ”が見られる日を心待ちにしたい。
【取材協力:東武鉄道、東京地下鉄】
1979年10月、ついに100の大台に乗った。以降、そのグループの車両番号は5ケタとなり、117まで続いてゆき、現在も野田線全線、東上線森林公園・小川町―寄居間、越生線全線で活躍する。
2024年12月、80000系が登場。41年ぶりに「80000」車両が登場したが、8000系の5ケタ車両とかぶることはない。奇しくも80000同士が野田線で共演するので、“レアな顔合わせ”が見られる日を心待ちにしたい。
【取材協力:東武鉄道、東京地下鉄】
☆追記
①2025年2月25日(火曜日)、動画を公開しました。
②3月3日(月曜日)、主要諸元の定員に誤りがあったため、画像を差し替えました。また、本文で「状態」と記述しなければならないところ、「上体」となっていました。大変失礼しました。
①2025年2月25日(火曜日)、動画を公開しました。
②3月3日(月曜日)、主要諸元の定員に誤りがあったため、画像を差し替えました。また、本文で「状態」と記述しなければならないところ、「上体」となっていました。大変失礼しました。
岸田法眼の鉄道チャンネル
『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄...
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