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京成電鉄3400形大追跡-初代AE形の走行機器による、往年の〈スカイライナー〉リターンズ-

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  2021/10/24
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京成トラベルサービスは、京成電鉄の後援で、2021年10月9・17日(土・日曜日)に「まるごと3400形(がた)の旅」を開催した。主役の3400形は、初代AE形の台車や制御装置などといった走行機器類を流用した通勤形電車で、参加者の中には“往年の〈スカイライナー〉”がよみがえり、テンションもMaxだったことだろう。

3400形とは

3400形は初代AE形(1972年登場、1993年引退)の走行機器類と新製車体を組み合わせた改造車として、1992年に登場し、1995年まで5編成40両が投入された(車両の詳細は割愛)。このようなタイプの車両を「車体更新車」と言う。ただし、鉄道事業者によって、新製車扱いと改造車扱いに分かれる。

初代AE形が登場した1972年以来、半世紀近くにわたり、走行機器類が3400形に引き継がれるカタチで躍動していた。しかし、2020年8月11日(火曜日)から廃車が始まり、取材日時点、3編成が在籍する。古参車両の3500形(1972年登場)、3600形(1982年登場)とともに、今後の去就が注目されよう。

3400形、〈スカイライナー〉の運用に就く?!

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2代目AE形〈スカイライナー〉と3400形がそろい踏み。
2021年10月9日(土曜日)、京成電鉄本線上野へ。「まるごと3400形の旅」は、3番線からスタートする。お目当ての3400形は10時16分に入線。車内では、2代目AE形〈スカイライナー〉の始発駅発車前に使われるBGMを流し、特別な雰囲気を演出する。

隣の2番線では、2代目AE形の〈スカイライナー29号〉成田空港行きが10時20分の発車を待っており、ある意味、新旧の〈スカイライナー〉車両が並ぶ。

参加者185人(大人165人、子供20人)を乗せた3400形は、10時24分に発車。今の電車はVVVFインバータ制御(現代の省エネ電車)がスタンダード化したこともあり、界磁チョッパ制御(昔の省エネ電車)の走行音のなつかしい響きがツアーの序章をかきたてる。新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、一部の側窓を5センチ程度開いた影響で、地下トンネルの轟音が響く。

「お待たせしました。この電車は、成田スカイアクセス線(アクセスルート愛称名。路線名は成田空港線)経由、〈スカイライナー〉、成田空港行きです。この電車は、すべて、指定席です。乗車券のほかに、スカイライナー券が必要です。お手持ちのスカイライナー券に記載されております、お席にお掛けください。

全車両、禁煙です。次は終点、成田空港、成田第1ターミナルです」

現行〈スカイライナー〉の車内自動放送が流れる。京成電鉄では、車内自動放送アナウンスに、東京メトロでおなじみの森谷真弓さんを起用している。ツアー列車ながら、3400形が〈スカイライナー〉に起用されたのは初めて。初代AE形の走行機器が〈スカイライナー〉として運転されるのは、1993年以来28年ぶり。オールドファンにとっては、テンションも上がっていることだろう。

ツアーでなければ、3400形は2代目AE形に続く「4代目〈スカイライナー〉」と称したいところ。読者諸氏には、「〈スカイライナー〉番外編」と思っていただければ幸いである。

さて、地下トンネルの轟音で車内自動放送が聞き取りづらかったせいか、地上へ上がると再び流れ、日暮里を通過した。その後、京成トラベルサービスの添乗員が今回のツアーの詳細、今後のツアーを宣伝する。

まさかの即席サプライズ

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まれに〈スカイライナー〉と東武特急の立体交差があるという。
沿線の荒川区立第五中学校では体育祭、足立区立第一中学校では部活動が行なわれており、徐々に日常生活が戻ることを実感しながら、千住大橋を通過してゆく。

ほどなく、進行方向左側には、東武鉄道(以下、東武)伊勢崎線が見え、下りでは東武車両の急行久喜行きとすれ違い、上りでは500系リバティの特急〈リバティけごん14号・リバティきぬ114号〉浅草行きが3400形と並走している。ほぼ同時に、京成関屋、伊勢崎線牛田の乗換駅を通過すると、絵的、趣味的には、双方の立体交差というサプライズが期待できる。

3400形が若干早く伊勢崎線をまたいだあと、特急〈リバティけごん14号・リバティきぬ114号〉浅草行きが本線をくぐった。3400形だと1号車の3分の1から6号車にかけて、立体交差しただろう。

成田空港線に入ると運転士トークショー

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通勤形電車充当のツアー開催時に使われる「行商専用車」の暖簾(のれん)。
10時43分、京成高砂で運転停車し、先行の各駅停車京成津田沼行きに追いつく。乗務員交代はなく、ほどなく発車すると、成田空港線へ。京成高砂―印旛日本医大間は北総鉄道と共用する。

スピードが段違いに上がり、先頭1号車はスタッフや関係者用の控室を示す「行商専用車」ののれんが大きく舞う。さすがに舞い過ぎのようで、係員が側窓の開口幅を5センチ程度から1センチ程度に縮めた。

松飛台を通過すると、BGMが鳴り、ツアー列車を運転しない運転士によるトークショーが行なわれる。その方は甲種電気車免許(電車の運転免許)を取得してから十数年たつという。指導員の添乗なしで初めて乗務をした列車が京浜急行電鉄(以下、京急)3代目600形KEIKYU BLUE SKY TRAINという、強運の持ち主だ。

運転士冥利に尽きる車両として、京急2代目1000形の“♪ドレミファインバータ♪”(ドイツ、シーメンス社製のVVVFインバータ制御。発車時、到着時に音階を奏でる)をあげた。1998年に快特用2ドア車として登場した2100形から始まり、2代目1000形(2002年登場)の増備途中まで続いた。しかし、機器更新に伴い、2021年7月20日(火曜日)をもって幕を閉じた。「運転している側からしても、“面白かったなぁー”というふうに思っております」の由(よし)。

1番忘れられないのは、2015年2月28日(土曜日)の自社3300形フォーエヴァー、リバイバル臨時特急〈成田山号〉京成成田行きで、当該列車の運転士に抜擢されたという。「“非常に多くの人でにぎわったなぁー”というのを今でも覚えております」と述懐した。

そして、3400形は2代目3100形の増備に伴い、2編成が廃車されたことについて、こう述べた。

「この先の3400形(けい)に関しては、未定な部分が多くて、“はっきりしたことを申し上げられない”のが、正直なところです。あと何年活躍できるかわかりませんが、今のうちにたくさん乗ったり、写真を撮ったりしていただければと思います」

その後、思わぬ放送が流れる。

「京成トラベルでは、昨年(2020年)から3500(形)、3600(形)、そして、本日乗車の3400形を使いまして、成田スカイアクセス線でのツアーを開催しまして、多くのお客様に貴重な体験をしていただいておりますが、〈スカイライナー〉が通常運行に戻ることによりまして、列車の本数が増えます。

特に成田湯川から成田空港までの単線区間に、今回のような臨時列車を入れるような余裕がなくなってしまうことになります」

〈スカイライナー〉は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年5月1日(金曜日)から一部列車を運休していた。その後、感染者の減少、2021年10月31日(日曜日)から実施される航空各社の冬ダイヤにおいて増便が計画されていることから、10月30日(土曜日)より全列車の運転が再開されることになったのだ。

同日以降、日中時間帯の成田空港線印旛日本医大―空港第2ビル間は、〈スカイライナー〉が20分間隔、アクセス特急が40分間隔で運転される。ただ、成田湯川以東が単線であること、空港第2ビル―成田空港間の線路は本線と共用していることもあり、ツアー列車の設定が困難な状況になるらしい。

その後、成田空港線の歴史を語り、トークショーを終えた。

100km/hで成田湯川を通過

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印旛日本医大―成田湯川間8.4キロを平均速度100.8km/hで駆け抜けた。
11時09分、印旛日本医大で運転停車。北総鉄道の区間はここまでで、前方の引上線に同社7500形(がた)が止まっている。上りの〈スカイライナー16号〉京成上野行き通過後、11時12分に発車した。

印旛日本医大―空港第2ビル間を通る列車は、最高速度120km/h以上の車両に限定されており、それ以下の車両が走行するのは異例である。運転台の左脇に「C-ATS 120」という制限速度が表示されているが、3400形の最高速度は110km/hである。

ツアー列車運転の大役を担う運転士は105 km/hに達すると、両手操作型ワンハンドルマスコンを力行から切(惰走)に変え、以降繰り返し操作する。発車して5分後の11時17分、成田湯川を通過。ホームの構造は新幹線の中間駅とほぼ同じで、両端にホーム、中央に通過線を構える。ここでは14人のレールファンが“珍百景”にシャッターを切りまくる。

2代目AE形〈スカイライナー〉の160km/h運転に対応した38番高速分岐器を通過すると、単線に。しばらくすると、JR東日本成田線本線をまたぎ、成田線成田空港支線に合流。こちらは1991年3月19日(火曜日)に開業し、30年の節目を迎えた。終点成田空港まで並走する。

本線に合流し、成田空港へ

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往路の終点、成田空港は成田空港線ホームに到着。
11時22分、根古屋信号場で運転停車。ここで京成トラベルサービスの添乗員が鉛筆を参加者に配布し、方向幕の人気投票を行なう。回答用紙は京成上野駅の受付時に配布されており、列車種別12種類、行先32種類の中から、それぞれ1つ選ぶ。集計の末、上位10位の列車種別+行先が東成田線東成田駅の未使用ホームにて発表される。

また、東成田駅の未使用ホームで実施される車内放送体験の抽選会も行なわれ、10人が当選した。

停車中、ヒコーキの離陸に遭遇し、轟音が響き渡る。周囲が田園なので、近辺に国際空港があること自体、いつも不思議に思える。

11時31分、京急2代目1000形のアクセス特急(押上〔スカイツリー前〕からエアポート快特)羽田空港第1・第2ターミナル行きが通過すると、11時33分に発車。地下トンネルに入ると、本線に合流し、空港第2ビルを通過。ホームは隣の成田空港と同様に、本線用と成田空港線用に分かれている。京成高砂―空港第2ビル・成田空港間は、本線経由と成田空港線経由の運賃が異なるため、改札の通過も前者2か所、後者1か所としており、運賃の取りこぼしを防いでいる。

「この先、揺れますので、御注意ください。

まもなく、終点、成田空港、成田第1ターミナル。成田空港、成田第1ターミナルです。お忘れ物をなさいませんよう、お仕度ください。すべての車両のドアが開きます。出口は、左側です。

京成〈スカイライナー〉を御利用くださいまして、ありがとうございました」

チャイムが鳴り、車内自動放送が作動。11時38分、成田空港1番線に到着した。隣の空港第2ビル共々、ホームドアが設置されており、参加者は1列に並び、出番になると、その雄姿に目を焼きつけていた。

その一方、隣の成田線成田空港支線は合流地点から成田空港まで、列車の姿が1本もない。それもそのはず、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、成田空港発の特急〈成田エクスプレス〉は、9時から16時までの運休が続いているからだ。

東成田駅で昔のポスターとヘッドマークなどを展示

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特設ステージに展示されたヘッドマーク、運行標示板、ポスター。
成田空港到着後は自由行動となり、参加者の大半は第1ターミナル内で昼食をとり、展望デッキでヒコーキを見物しただろう。

ツアーの後半は東成田駅から始まる。参加者には成田空港―空港第2ビル間の乗車券が配布されている。空港第2ビル駅と東成田駅は500メートルの地下道でつながっているのだ。

このほか、成田空港交通のターミナル連絡バス(運賃無料)なら、第1ターミナルから直接東成田駅に向かうことができる。

13時を過ぎると、東成田駅では芝山鉄道などをまじえた物販コーナーが店開きしたほか、普段、立入禁止の一角を“特設ステージ”として開放し、なつかしのポスターやヘッドマークなどが展示されている。

特設ステージの注目はヘッドマークで、初代AE形が1974年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞記念、1993年6月27日(日曜日)のラストランが飾られた。のちに昭和の通勤形電車に取りつけられた通勤特急、特急、急行の運行標示板も追加された。

駅員の放送であわてて“寄り道”する参加者も

私が特設ステージを出ると、思わぬサプライズが。駅員の機転なのか、芝山鉄道の案内をする。13時18分発の各駅停車芝山千代田行きに乗ると、芝山千代田13時37分発の各駅停車京成成田行きで折り返せるというのだ。

参加費用に含まれていないので“自腹”ながら、放送を聞いた一部の参加者が券売機で乗車券を購入し、あわててホームへ向かった(注:芝山千代田駅の改札は、交通系ICカード未対応)。

なお、芝山鉄道は2022年10月27日(木曜日)に開業20周年を迎える。新型コロナウイルスが完全に終息し、マスク着用なしで、その日がやって来ることを願いたい。

入線後、車内放送体験を実施

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復路で掲示されたステッカー。
13時30分、もうひとつの立入禁止エリアも解放され、“「旧成田空港駅」という名のレジェンドエリア”へ。1991年3月18日(月曜日)をもって役目を終えた未使用ホームに向かうと、13時38分、3400形が旧2番線に入線した。1号車の側面、8号車の前面に「まるごと3400形の旅〈スカイライナー〉2021.10.9」のステッカーを貼付し、復路に備える。

まずは1号車の乗務員室で、当選者10人による車内放送体験を行なう。当選者は特別に乗務員室に入ることが許された。ここでは男子児童の車内放送を御紹介しよう。

まず、発車前。

「お待たせしています。この電車は、京成本線経由、快速特急京成上野行きです。停車駅は、京成成田、京成佐倉、勝田台、八千代台、京成津田沼、京成船橋、京成八幡、京成高砂、青砥、日暮里、終点、京成上野です。15時06分の発車です。発車まで、少々お待ちください」

次に発車後。

「お待たせしました。本日も京成電鉄を御利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、京成本線経由、快速特急京成上野行きです。次は、京成成田、京成成田です。京成成田の次は、京成佐倉に停まります」

緊張しつつも、楽しそうな様子だ。

一方、8号車側では、立入禁止エリアにスポットライト2台を旧2番線の白線の外側に配置していた。ホームが暗いため、3400形の御尊顔に光をあてることで、方向幕の人気投票ランキング発表時に撮影しやすいよう、配慮したのだろう。

お待ちかね、方向幕人気投票の結果

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“夢の列車”が次々と表示されてゆく。
14時10分になり、いよいよ方向幕の人気投票ランキングが発表される。種別幕と方向幕がまわると、ドキドキ感、ワクワク感がたまらない参加者が多いと思う。歌番組に例えると、『ザ・ベストテン』(かつてTBS系列で放送された)で、曲紹介に使われた反転フラップ式案内表示機のような感覚であろう。

方向幕の人気投票ランキングは下記の通り。

第10位:快速特急三崎口行き
第9位:通勤特急新逗子行き
第8位:快速特急成田空港行き
第7位:エアポート快特金町行き
第6位:エアポート快特東成田行き
第5位:エアポート快特成田空港行き
第4位:エアポート快特新逗子行き
第3位:急行東成田行き
第2位:エアポート快特三崎口行き
第1位:特急三崎口行き

ベストテンを見ると、京急の「エアポート快特」と「三崎口」「新逗子」の票数が多い。特に新逗子は2020年3月14日(土曜日)、「逗子・葉山」に改称されたこともあるのだろう。ちなみに、3400形の方向幕に「逗子・葉山」はない。

京成グループ車両の京急直通区間は、泉岳寺―羽田空港第1・第2ターミナル間に限られており、横浜・上大岡・金沢文庫方面への直通運転を熱望している表われといえよう。

ちなみに、2021年10月17日(日曜日)開催分のランキングは、下記の通り。

第5位:通勤特急(京急)蒲田行き、エアポート急行新逗子行き、特急新逗子行き、普通(各駅停車)ちはら台行き、通勤特急三崎口行き、急行東中山行き

第2位:特急三崎口行き、エアポート快速新逗子行き、急行(京急)川崎行き

第1位:快速特急三崎口行き

スポットライトを浴びた東武特急

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東武100系スペーシアの看板は色あせても、燦然(さんぜん)とした輝きは色あせない。
方向幕の人気投票ランキングが終わると、15時近くまで種別幕と方向幕がまわりまくる大盤振る舞い。参加者の多くは普段お目にかかれない「列車種別+行先」にシャッターを切りまくる。

係員はスポットライトを旧1番線の中ほどに移動させ、壁面に光をあてると、東武100系スペーシアの広告看板が輝く。この駅が「成田空港駅」と名乗っていた末期の1991年に掲示されたという。だいぶ色あせたとはいえ、30年も掲示されているのがすごい。

奇しくも、2021年6月より100系スペーシアの一部編成を対象に、広告看板通りのデビューカラーリングがよみがえった。やはり、このカラーリングが落ち着く。将来はこれで有終の美を飾るのではないだろうか。

初代AE形の走行機器による、往年の〈スカイライナー〉リターンズ

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“往年の成田空港駅”となった、現在の東成田駅。
未使用ホームから発車ベルが鳴り、3400形が15時06分に発車。復路は往年の初代AE形〈スカイライナー〉を再現し、途中駅すべて通過のノンストップ運転で京成上野に向かう。3400形の走行機器にとっては、通い慣れたルートだ。

「皆様、本日は〈スカイライナー〉を御利用いただきまして、ありがとうございます。この列車は(京成)上野まで、途中、停まらずにまいります。このクルマは、座席指定車でございます。(中略)座席番号の席にお掛けください(以降、英語放送。以下省略)」

「大変お待たせいたしました。御乗車ありがとうございます。(京成)上野行き〈スカイライナー〉でございます。(京成)上野までの所要時間は、60分です。途中停まらずにまいりますので、ごゆっくり、おくつろぎください。

お手洗いは、3号車にございます。また、各車両の乗降口の近くに、くず入れを備えてありますので、御利用ください」

発車後すぐ及び、地下トンネルを抜けると、車内自動放送がかかる。聞く限り、〈スカイライナー〉デビュー時のようである。当時、京成上野―旧成田空港(現・東成田)間ノンストップ運転で、所要時間は約60分。カーブが多いなか、可能な限り速く走らせるため、初代AE形に定速度制御(一定の速度を保ち続けて走る装置)が搭載された。なお、3400形には引き継がれていない。

この放送を聞いた京成電鉄広報がなつかしさに感慨深い様子。直後、再生機器の調子がいまひとつのため、1号車の乗務員室では乗務員など数人がかりで修復作業にあたっていた。

京成成田を通過して本線に入ると、初代AE形の現役末期に切り替わったルートをゆく。かつて、京成成田―宗吾参道間はクネクネ曲がっていたが、大規模な宅地造成に伴い、曲線を緩和する新ルートへの切り替えが決まった。台地を削るほどの難工事は1992年に完成し、線路切り替えが実施された。2年後の1994年4月1日(金曜日)、新ルート内に公津の杜駅が開業した。

大佐倉を通過すると、かつて「ポニョ」と名づけられたヤギが数日間もウロウロした崖のそばをゆく。京成電鉄広報によると、騒動後、京成電鉄に「早く救出を」といった電話が相当かかってきたという。

乗務員室の舞台裏

京成臼井付近で車窓が田園から住宅地に変わり、首都圏らしい雰囲気に。再生機器が復旧し、勝田台通過後に鳴らそうとするも、また不具合が発生してしまう。急きょ、往路でトークショーをした運転士が3400形の乗務員室を語り始める。

3400形の乗務員室は、「夏は暑く、冬は寒い」という。特に夏の場合、運転台下のウォッシャー液の空洞から熱風が舞い上がるそうだ。21世紀に登場した2代目の3000形、3100形は、乗務員室の空調設備が充実しており、「夏はすごく涼しくて快適になりました」の由。若い運転士も「非常に運転しやすい」の声があがっているという。

一見して3400形は乗務しにくい車両に思われる読者もいるだろう。トークショーをした運転士は、すぐに3400形をフォローする。

「私のような鉄道ファン(レールファン)になりますと、3400(形)とか、3500(形)が来ると、“おぉー、きた、きた”という感じで、結構喜んで運転したりもするんですけど」

大ベテランの車両に対する愛情をのぞかせた。

当時の車内自動放送復元の舞台裏

「まもなく、(京成)津田沼を通過しますので、〈スカイライナー〉の放送を流したいと思います」

トークショーの運転士が再生機器の復旧を確認し、いよいよ車内自動放送を再開することになった。3400形は千葉線交差付近を走行している。

「皆様、ただいま列車は、(京成)津田沼付近を通過中でございます。あと30分で、(京成)上野駅に、到着の予定でございます」

千葉線に合流し、15時40分、京成津田沼を通過。その後、1964年のCMソング『ぐんぐん京成』を流したあと、京成電鉄の社員が今回のツアーで使用した、昭和の車内自動放送復元の舞台裏を語る。

京成電鉄では昭和40年代の後半から、昭和60年頃(1971年頃~1985年頃)にかけて、日中の列車を中心に、車内自動放送がテープにて行なわれた。

しかし、終了後、時代が21世紀、元号も平成、令和に変わると、京成電鉄社内に車内自動放送のテープが保管されていなかった。幸い、京成電鉄に勤務していた方、テープの業者で働いていた方などが所蔵していたことから、これらの方々からテープを借り、復元することになった。

復元の際、相当な苦労があり、テープはいずれも「エンドレステープ」(大阪市営地下鉄〔現・Osaka Metro〕、路線バスなどで使われていた)というもの。テープの最初と最後がつながっており、継ぎ目には糊(のり)のついた金属箔を使用していたが、それが経年劣化によって再生すると、その場所が切れてしまい、再生ができなくなる難点があった。

金属箔に代わるものを何度も試行錯誤を重ね、ようやく再生したところ、昭和の車内自動放送を発見することができたという。また、テープに動力を伝えるゴムローラーは、変形や磁気の粉で滑るようになってしまうものなので、その箇所を削り、安定した回転を実現することができたという。こうした過程を経て、昭和の車内自動放送の復元に至った。

説明後、当時存在していた急行の車内自動放送のオンパレードで、オルゴール調のBGMと甲高い女性の声が調和。聞いていて心地よい。

他社線の車両も花を添える

京成船橋を通過すると、進行方向右側には東武野田線の船橋駅が見え、ホームには60000系の各駅停車柏行きが発車を待っている。ほどなく、60000系の各駅停車船橋行きが左へ曲がり、終点に到着しようとしている。無塗装のアルミ車体ながら、フューチャーブルーとブライトグリーンの組み合わせが遠くからでも目立つ。

江戸川を渡っている最中、進行方向左側には、JR東日本総武本線255系の特急〈しおさい7号〉銚子行きとすれ違う。255系は初代AE形が引退した5日後の1993年7月2日(金曜日)にデビューした。

再び伊勢崎線をまたぐと、下りは東急電鉄2020系の急行久喜行き、上りは特急〈リバティけごん32号・リバティ会津132号〉浅草行きが通る。タイミングが合えば、どちらかと立体交差していただけに、絵的、趣味的という点では惜しい。とはいえ、往路、復路とも、500系リバティに遭遇するという思わぬ展開に、一部の参加者もクギづけだったのではないだろうか。

フィナーレ

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参加者に配布された3400形のコインケース。
「皆様にお知らせいたします。あと5分ほどで、終点、(京成)上野に到着いたします。お手回り品など、お忘れ物のございませんよう、お仕度をお願いいたします。

なお、タクシーを御利用の方は、改札口を出て、左手通路の50メートル先に、タクシーのりばがございます。国鉄線(現・JR線)を御利用の方は、改札口左手の前方の階段を、地下鉄線を御利用の方は、地下通路が便利でございます」

町屋を通過すると、初代AE形〈スカイライナー〉の車内自動放送が流れ、終点京成上野到着を告げる。日暮里が近づくと、京成トラベルサービスの添乗員が参加御礼等の放送を流す。

3400形は夕暮れの街をゆっくり走り、JR東日本常磐線E231系通勤形タイプの快速上野行きと立体交差し、地下へもぐる。

「皆様、まもなく、(京成)上野終点でございます。お忘れ物のございませんように、御注意ください。本日は、〈スカイライナー〉を御利用くださいまして、ありがとうございました。

またの御利用の切(せつ)には、ぜひ、〈スカイライナー〉を御利用くださいますよう、心より、お待ち申し上げております。御乗車ありがとうございました」

初代AE形〈スカイライナー〉の車内自動放送で締め、16時12分、廃止された博物館動物園をゆっくり通過。16時14分、停止信号で停止したのち、定刻通り16時15分、終点京成上野3番線に到着。隣の2番線では2代目AE形の〈スカイライナー65号〉成田空港行きが16時20分の発車を待つ。往路、復路とも、同じ車両が並ぶという、京成電鉄と京成トラベルサービスのイキな演出だ。

下車後、参加者にはノベルティーとして、3400形のコインケースが配布され、濃密な1日が幕を閉じた。

【取材協力:京成電鉄、京成トラベルサービス】
☆トリビア(追記)

①「まるごと3400形の旅」は乗務員の希望で、両日とも3418編成が使用された。台車が鋳造製で、重厚な乗り心地が味わえるという。それ以外の編成はプレス加工の台車である。

京成電鉄によると、鋳造とプレス加工の違いは、その製造工程のみであり、安全性、性能面では違いがないという。また、技術の向上とともに、時間、費用面でのコストを考慮し、鋳造からプレス加工に移り変わったという。

②トークショーで運転士は「形(けい)」と称していたが、京成電鉄では「形(がた)」の呼び方で統一しているという。

参考までに、私の知る限り、「形(けい)」は北大阪急行電鉄、西日本鉄道で用いられている。
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